コンサルタントの基本業務として会議の議事録作成を任されることが多い。これはどのような業界を担当していたとしても比較的若手のコンサルタントであればおそらく議事録作成を行う。今回はコンサルタントの基本業務だが、実は奥が深い議事録作成についてご説明したい。

そもそも議事録の目的とは?

そもそも議事録は何のために作成するのか?結論としては会議内容を明確にし、会議参加者・不参加者問わず共有、次のアクションに繋げるために必要である。

日々のチームミーティングや進捗管理では、そこまでしっかりした議事録を作成することは少ないかもしれないが、経営会議などの重要な会議では、議事録は必須となり、会議参加者内での認識合わせだけでなく、会議に参加していない人にも会議内容が共有される。

また、「言った言わない問題」は後々の手戻りが発生する可能性があり、非常に効率が悪い。クライアントと揉める原因にもなるため、責任の所在を明確にするためにも正しく会議内容を議事録に落とし込む必要がある。

加えて、定例会議などは前回までの検討内容をベースに議論される。前回の会議内容を振り返り、同じような議論を繰り返さないためにも議事録は活用される。

コンサルタントに限らず、事業会社であっても若手メンバーが議事録の作成担当となることが多いが、議事録の内容は後々で非常に重要になるため、一見簡単かと思いきや重大なタスクとなる。

決定事項とToDoを逃さない

議事録のポイントとしては、必要な項目を必要な分だけ議事録に落とし込むことだ。会議内で話されたことを全て議事録として書き起こしたとしても、長くなってしまい、何が議論されたか振り返ることは難しいだろう。

議事録に盛り込むべき具体的な項目は以下となる。
・会議情報(会議名、開催場所、日時、出席者)
・会議目的/アジェンダ
・決定事項/合意事項/ToDo
・議事内容(決定事項やToDoに関連するところを中心に抜粋)

特に、決定事項とToDoは絶対に逃してはいけない。決定事項は議論の末、たどり着いた重要な結論であり、後続の方針や各担当者の行動に大きな影響を与える。ToDoは次回以降の宿題事項であり、何を、誰が、いつまでに実行するのか、という情報を明確にし、抜け漏れを防ぐ。

特に、定例会議では前回会議で発生したToDoの確認を必ず行う。会議の中でToDoの認識合わせから行うのではなく、前回作成議事録を使用して、会議までにToDoの進捗状況を確認しておくことで効率的な会議運営をすることができる。

また、議事内容は決定事項とToDoに関連しているところを濃く書くことをおすすめする。決定事項とToDoは箇条書きで抜粋して議事録に記載することが多いが、その部分だけ読んでもなぜそのような結論に至ったのか意味不明の場合もある。

議事内容では誰の発言で合意されたのか、ToDoが発生したのかがわかるように議事内容をわかりやすく、簡潔にアレンジする必要がある。会議での発言内容をそのまま文字起こししてしまっては冗長になるので、適切な文量に要約する必要がある。

会議終了時点で8割完成を目指す

議事録は非常に重要な成果物であると同時に展開スピードが求められる。例えば、会議の1週間後に展開されたとしても、振り返るには遅すぎてしまい、誰にも読まれなくなってしまう。

どんなに遅くても2営業日後までには展開すべきだ。望ましいのは当日中の展開。会議終了時点で8割完成、会議後に手直しと他メンバーの展開前チェックを終えて、当日中に展開する流れとなる。

会議内で8割書き終えるためには以下のポイントを抑えることをおすすめする。
・議事録フォーマットを事前に準備(会議情報などはテンプレ化させる)
・キーパーソン/頻出人物を辞書登録(例:「経営企画田中様」を辞書登録)
・箇条書きで構造化
・録音しない(録音しても全部聞き直さない)

特に、誰でもすぐに実践できるのは辞書登録である。大人数の会議でも議論の中心となるのは多くても4~5人程度のため、頻出人物は辞書登録して、すぐに出せるようにすることをおすすめする。

加えて、議事録のマスト要件は決定事項とToDoを漏れなく議事録に落とし込むことなので、それ以外の情報は重要度が若干落ちる。全ての内容をメモすることは非効率なので、決定事項とToDoに関わる部分を集中的に書き起こす。

また、箇条書きで構造化は少し難しいが、基本的にはアジェンダに対して議論をすることが多い。アジェンダに対して、論点をぶら下げ、さらに論点に対して意見をぶら下げて、議論をアジェンダに対してグループ化していく。

構造化・グループ化された文章は非常に読みやすくなるため、議事録の読み手としても振り返りがしやすく、認識齟齬も起きにくい。

今回は若手の基本タスクとなる議事録の書き方についてご紹介した。基本タスクだが、非常に奥が深く、議事録のクオリティ・スピードが業務遂行の効率性を左右するといっても過言ではない。今回の内容が議事録作成で困っている人の助けに少しでもなれば幸いである。