メガバンクは、事業の安定性や充実した福利厚生などの魅力があり、新卒の就職先や転職先として根強い人気を持つ。

また、自身のキャリア形成においても、有益なスキルや経験が得られる魅力的な業界だ。

ただ、そのような魅力あるメガバンクからも、転職を希望する人は一定数存在する。

本記事では、メガバンクから転職するきっかけや代表的な転職先、株式会社アサインのエージェントサービスを利用してメガバンクから別分野への転職を成功させた方のエピソードを紹介する。

メガバンクからの転職を検討している人は、ぜひ本記事を通して自身のキャリアを検討してほしい。

メガバンクからの転職を考える理由やきっかけ

メガバンクからの転職を考える理由やきっかけとしては、以下のようなものが挙げられる。

  • 年功序列やボトムダウン経営など旧態依然の企業風土が色濃く、窮屈さを感じる
  • 自分の経験やスキルセットが、金融業界でしか通用しないことに対しての不安がある
  • 業界に対するネガティブなイメージが強くなる出来事があった
  • 多忙でワークライフバランスを保てない・スキルアップを図る時間が取れない

メガバンクならではの風土や業務の進め方に疑問や疲労などを感じた人が、転職を検討することが多いようだ。

転職せずメガバンクでキャリアを構築するメリット

中長期的にメガバンクで勤務し、キャリア構築を目指していくことにも当然ながらメリットがある。

転職がすべての問題を解決するとは限らないため、いざ転職して「メガバンクに残っていればよかった」と後悔する可能性はゼロではない。

ここでは、改めてメガバンクのメリットを紹介する。

安定性と信頼性がある

メガバンクのメリットの代表例が、信頼性と安定性である。

国内外に広がる大規模かつ堅固な経営基盤により、メガバンク以外の金融機関や他業界の企業よりも安定性があるといえる。

また、リーマンショックやコロナ禍のような大きな社会変動による不確実な市場状況にも、メガバンクは比較的安定した対応が取れる傾向がある点も特徴だ。

企業が不景気に強ければ、勤務する労働者が倒産のリスクを心配する必要性が低くなり、業務に集中できるだろう。

さらに、メガバンクの持つ信頼性や安定性は、そのまま自分の社会的信用につながる。

賃貸契約やクレジットカード作成、各種ローン契約などが比較的通りやすく、ライフプランにおいても有利な状態が保持できる。

プライベートでもメリットを享受できるのが、メガバンクで勤務するメリットの一つだ。

大規模なネットワークがある

メガバンクは、いうなれば資本主義経済の元締めのような役割の一翼を担う存在である。

それゆえに、経済活動をする企業や個人とのネットワークが実に広範であり、関わる業界はほぼすべてといってよい。

業務を通じて、ほかの金融機関をはじめとするさまざまな企業や個人と関わることで、ビジネスチャンスが多く生まれる。

そのビジネスチャンスを無駄にせず挑戦すれば、それだけ人材としての市場価値も上がりやすく、自身の成長にもつながりやすい。

また、このビジネスチャンスは同僚や先輩、上司からもたらされることも多いのがメガバンクの特徴だ。

同僚や先輩、上司との関係を通じて、ビジネスコネクションも増やしていけるのは魅力である。

福利厚生が充実している

一般的にメガバンクは、充実した福利厚生を従業員に提供している。

メガバンクでよく見られる福利厚生の内容は、以下のようなものがある。

  • 財形貯蓄
  • 従業員持株制度
  • 住宅補助費の支給

一般企業でも見られる社会保険、年次有給休暇、退職金制度などの福利厚生に加えて、上記のような福利厚生も得られるのは大きな魅力だ。

さらに、メガバンクは給与自体も比較的高い水準にある。

高水準の給与と充実した福利厚生を得られる環境にあるのが、メガバンクの大きなメリットだ。

メガバンクからの代表的な転職先

メガバンクで培った経験やスキルを活かせる転職先はいくつかある。

金融業界ではなくとも、身につけた金融知識や実績が活きる業界があるのがメガバンク出身者の魅力だ。

ここでは、代表的な転職先と働き方、業務内容などを解説する。

  • 外資系金融期間
  • FinTech(フィンテック)企業
  • コンサルティングファーム
  • SaaS企業
  • M&A企業

外資系金融機関

外資系ならではのカルチャーや仕事の進め方などの違いはあるが、外資系金融機関はこれまでメガバンクで培った経験やスキルを活かせる場面が多い。

外資系金融機関の場合、国内のメガバンクよりも国際的な案件や海外のクライアントに関わる機会が増える。

グローバルな視座と対応策を自身のキャリアアップの一環として身につけたい人にとっては、うってつけの転職先といえる。

FinTech(フィンテック)企業

FinTech(フィンテック)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語のことであり、これを扱う企業をFinTech企業と呼ぶ。

具体的にはデジタル決済、オンライン投資、クラウドファンディングなどを扱う会社だ。

メガバンク出身者がFinTech企業に転職すれば、これまでの金融業界に関する知識や経験を存分に活かせるだろう。

さらに、テクノロジー方面に関して新たに学べることが多く、自身のスキルアップにも寄与する。

FinTech業界全体でいえば、まだ新興産業であるがゆえに、スタートアップやベンチャーなどに属する企業が大多数を占める。

それゆえに、メガバンクではあまり経験できないようなスピード感や裁量を持って仕事に取り組める点も魅力だ。

コンサルティングファーム

コンサルティングファームは、クライアントの議題を解決するために戦略策定や市場調査、導入支援などを行う企業だ。

クライアントの業界を絞らず広範に関わる総合コンサルティングファームや、金融業界に特化したコンサルティングファームがある。

コンサルティングファームに転職すると、メガバンクで培った営業力や提案力を活かして勤務することが可能だ。

また、金融戦略やリスク管理、業務改善などの分野にも携わることができ、自身のキャリアアップにもつながる。

SaaS企業

SaaS企業は、クラウド上で利用できるソフトウェアサービスを販売・開発する企業である。

Microsoft Office 365やGoogle WorkspaceなどがSaaS企業に該当する。

なかでも会計ソフトを主軸にサービス展開をしているSaaS企業を転職先に選べば、これまでの金融業界の経験を活かしながら働くことが可能だ。

さらにSaaS企業には、メガバンクでは少ない最先端のテクノロジー領域にチャレンジできる環境がある。

SaaS業界は、今後成長が見込まれる業界の一つでもあるため、勢いのある業界に身を置いてさらなるキャリアアップを目指したい人におすすめだ。

【関連記事はこちら】

>>SaaSとは。サービスやPaaS、IaaSとの違いをわかりやすく解説
>>【企業一覧】急成長するBtoBのSaaS企業20社を厳選。転職事例も
>>SaaS業界へ転職をおすすめする理由とは。メリットや注意点を解説

M&A企業

M&A企業は、企業を売却したい経営者と企業を買収したい経営者などの間に立ち、仲介を行う企業だ。

M&Aを成立させるためには、財務や会計に関する高いファイナンススキルと、豊富な法人営業経験が求められる。

メガバンク出身者にとっては、これまでの法人営業経験が存分に活かせるフィールドである。

また、多額の個人融資や企業の融資審査、不良債権処理などの経験も活かせるだろう。

M&A業界では、メガバンク出身者を積極的に採用している傾向も強く、チャンスが多いことも魅力である。

【関連記事はこちら】

>>異業種転職でよくある失敗事例を紹介。失敗を避けるための注意点や対策>>異業種に転職した人のリアルな経験談を紹介。転職を成功させるポイントとは

メガバンクから転職する場合の注意点

メガバンクから別の会社へ転職した後に、なんらかのギャップを抱いてしまう人は少なくない。

その多くは、「こんなはずではなかった」といった後悔から生まれている。

転職後のギャップは、転職前から十分な情報収集をしてイメージを膨らませておくことで、回避できるものもある。

ここでは、転職前に知っておくべき注意点を解説する。

年収や待遇が落ちる場合がある

メガバンクは、ほかの業界と比較しても、高い水準の給与と福利厚生を従業員に提供している。

それゆえに、転職先の企業ではメガバンクよりも給与や待遇が下がるケースも少なくない。

給与や待遇が下がれば、予想以上に日常生活へ影響することがある。

例えば、メガバンクで家賃に関する補助を得ていた場合、転職先で同水準の待遇がなければ、そのまま家賃分の出費が加算されることになる。

単純な年収ダウンだけでなく、家賃補助などの待遇がダウンしたことで出費が増えてしまうと、余計に手取り金額が減った感覚が強くなる恐れがあるのだ。

また、金融業界以外の異業種に転職した場合は、給与体系やボーナスの制度もこれまでとは異なる場合がある。

特に、年俸制だとボーナスが支給されない場合があるため、夏と冬に大きな支払いをする予定を組むことが難しくなる可能性がある。

転職の際には「年収や待遇の変化に対してどこまで許容できるか」を検討しておくことが肝要だ。

スキルや経験を過信していると転職が難しい

メガバンクで培った経験やスキルには、唯一無二のものもあり、希少性があることは確かだ。

ただし、有用ではあるが万能ではないことを理解しておかなければならない。

なぜなら、すべての業界でメガバンクで培った経験やスキルが評価されるとは限らないからである。

転職を考える際には、自身のスキルセットがほかの業界や職種でも活かせるかを客観的に評価する必要がある。

場合によっては、必要なスキルや知識を補完するために、独自の学習や資格取得などの努力も求められる。

メガバンクでの働き方や業務の進め方と大きく変化する

メガバンクは大規模な組織であるがゆえに、独自のルールや業務プロセスが存在する。

また、金融業界特有の法制度や慣習があり、これらの影響を受けている。

そのため、メガバンクから異業種に転職した場合、業務の進め方や働き方などが大きく変わることで、対応に苦慮する可能性は否定できない。

業務の進め方や働き方で異なることがあるのは、主に以下のような点だ。

  • 企業文化、風土の違い
  • チームの規模
  • 意思決定のスピード など

早期に転職先にコミットするためには、入社前にその業界や企業の特性を理解し、自身が適応できるかどうかを考慮する必要がある。

メガバンクから転職した実例4選

アサインの転職エージェントサービスを利用して、メガバンクから転職を成功させた人は複数いる。

ここでは、各転職成功者における転職のきっかけや入社理由、転職先での業務などを紹介する。

事例1:メガバンクから施工管理のSaaS企業へ転職

新卒でメガバンクへ入社後、施工管理アプリなどのサービスを提供するSaaS企業に転職された小西様。

メガバンクでは法人営業を担当され、M&AやIPOなどの支援も行うなかで、充実感を抱いていたそうだ。

しかし、銀行員としてのキャリアへの課題感と起業したい想いが大きくなり、転職を決意。

転職活動当初は、どこの選考を受けたらキャリアの実現につながるのかわからず不安だったそうだ。

そのなかで、エージェントと面談の機会があり、「手厚いヒアリングの後に求人を提案する」という流れに納得感を覚えていただけた。

アサインのエージェントによる転職支援の末、最終的にはSaaS企業に転職を決意。

入社後は、新しく立ち上げた部署で基幹システムの販売を行っている。

社内でのキャリア説明会や1on1の面談などが充実しており、手を挙げたらチャレンジさせてくれる社風に満足されているそうだ。

中長期的には新規顧客へのアプローチにも挑戦しつつ、転職前から抱いていた起業への夢に向けてまい進したいと話していた。

事例2:メガバンクから人材紹介会社へ転職

メガバンクから、さらなるキャリアアップを求めて人材メガベンチャー企業に転職された高野様。

メガバンクでは、累計100社程度の法人担当を経験し、大型案件も担当するほどの人材だった。

やりがいを感じながら勤務していたが、一方で自分自身の力が伸びている実感は少なく、よりスキルを伸ばせる場所があるのではないかと考えていた。

そして、より力を活かせるフィールドに移ろうと考えた末、転職を決意。

転職活動では「メガバンクでの経験が評価されるか」が不安だったそうだが、アサインのエージェントと縁があり、支援させていただくことになった。

そして、就職活動のときから軸にしていた「自己成長と他者貢献」を満たす企業である、人材メガベンチャー企業に転職された。

現職の人材メガベンチャー企業では、人材紹介における法人サイド(リクルーティングアドバイザー)を担当している。

インターネット業界の成長スピードに驚くこともありつつ、刺激的な毎日でよい意味でのギャップしかないと話されていた。

将来的には、現職でさまざまなことを早く学んで、独立することを目標としているそうだ。

事例3:メガバンクからSaaSのスタートアップ企業へ転職

メガバンクから、IT×SaaSのリーガルテックに属する、SaaSのスタートアップ企業に転職された岡田様。

メガバンクでは、窓口業務や法人営業、そして海外の銀行への出向など、多岐にわたる経験を積まれた。

充実感のある毎日を過ごしていたが、一方で時代の変化に伴う「キャリア形成の重要性」を感じるようになっていた。

会社の意思決定に関わる経験を積めるポジションに身を置きたいと考え、転職を決意。

ただ、転職活動を進めるなかで「メガバンクのままのほうが幸せかもしれない」と何度も迷いが生まれたそうだ。

その折に、エージェントとの面談の機会があり、岡田様の強みを明確にする内容に共鳴され、支援する運びとなった。

面談や転職活動を通じて、「自分の強みを活かしながら、これまでとは異なる新しい領域に挑戦してみたい」と感じ、SaaSのスタートアップ企業に転職された。

現職のSaaS企業では、営業・マーケティング戦略部に属し、営業組織の見込管理や目標設計方法の検討などを主に担当しているそうだ。

スタートアップならではのスピード感に苦労することがありつつも、挑戦心を大切にしながら業務に臨んでいると話す。

中長期的には、全社的な経営戦略にも関与できるようになりたいとのことだ。

事例4:銀行員から営業コンサルタントへ転職

地方銀行の職員から、営業コンサルタントへ転職された前田様。

メガバンクではなく、少し規模が小さい銀行を選んだ理由は、関われる業務の幅が広いと考えたからであった。

しかし、入行から3年が過ぎた頃に「今のスキルは銀行でしか役立たないのでは」と感じ始め、転職を決意。

転職活動では「情報不足」と「スケジュール調整の難しさ」の2点に大きな不安を抱えていたが、エージェントに相談したことで不安が軽減されたそうだ。

そして、さまざまな商材に関わることができ、営業のプロフェッショナルになれると感じた営業コンサルタントに転職された。

現職の営業コンサルタントでは、1つのプロジェクトのなかでリーダー、社内的にはチーフに就いてカスタマーサクセス領域の支援を行っているそうだ。

大前提として数字を残すという点も大事にしながら、必要なスキルが身につけられる環境であり、転職を決めてよかったと話す。

将来的には、プレーヤーとしてのスキルとマネジメントスキルの両立を目標としているそうだ。

メガバンクから転職する場合の成功ポイント

メガバンクからの転職を成功させるには、いくつかおさえておくべきポイントがある。

ここでは、そのポイントについて解説する。

自分のスキルや経験を棚卸しする

まずは、メガバンクで培った経験やスキルを棚卸し、転職先で活かせる自分の能力を明確にしておくことが肝要だ。

メガバンク出身者が評価され、有利になるスキルや経験は以下のようなものが挙げられる。

  • 法人営業経験
  • 業績不振先や不良債権処理への対応経験
  • リスク管理・企画経験

上記のような経験やスキルがあれば、転職先でも有用となることが多い。

転職を通して何を成し遂げたいかを明確にする

メガバンクは概して給与や待遇がよいため、転職先で何を成し遂げたいのかが明確でないと後悔する可能性がある。

特に「人間関係に不満がある」「仕事に飽きた」などの理由で転職を決めてしまうのは、避けたほうが無難だ。

自分自身の将来のビジョンに合わせて、慎重な検討が転職活動には求められる。