寄稿エージェント:高木 土筆

NISA(ニーサ)という言葉を聞いたことがある人は多いだろう。しかし、その制度について具体的にわかっていない人もいるのではないだろうか。制度としては2014年から始まっているため、今さら聞けないNISAにについて概要をご紹介したい。

投資で得た収益が非課税になる制度

NISAとは、正式には「少額投資非課税制度」といい、CMやネットなどでは「ニーサ」と呼ばれるため名前だけではどのような制度かイメージしにくいが、正式名称の通り投資に関する税の優遇制度のことである。

本来、投資を行い収益が出た場合、税金が課税されてしまうが、NISAの範囲であれば非課税となる。

具体的には、毎年120万円までの投資で得た収益が最長で5年間非課税となる。例えば、投資をして10万円の利益が出た場合、本来であれば20%が課税されるため2万円が税金となり、手元に残るのは8万円となるが、NISAを活用すると非課税なので10万円全て手元に残る。

NISAを利用するためには、証券会社、銀行、一部の生命保険会社や運用会社などの金融機関で口座を開設することになる。なお、NISAの口座自体は1人1口座しか開設することができず、複数のNISA口座を開設することはできない。

なお、上述のようにNISA口座で投資できる金額は年間120万円までとなっている。「投資」「資産運用」と聞くともっと大きな金額がないと始められないと思い込んでしまい、あまり深く調べていなかった人もいるのではないだろうか。実際のところ、貯蓄感覚で月に数万円程度ずつ運用している人がほとんどである。

資産運用へのオーナーシップ

日本の年金制度が崩壊しつつあり、NISAは「自分の資産は老後に備えて自分で運用していきましょう」という日本政府からのメッセージとも取れるが、ネット証券がNISA口座開設をさらに加速させている。

ネット証券として有名どころは、SBI証券、楽天証券などだろう。最近ではメッセージアプリのLINEも証券のサービスを展開し、これまで資産運用から縁遠かった若者ユーザーたちへ簡易な加入手続などを武器に資産運用へのハードルを一気に下げ、身近なものにしている。

また、楽天証券はポイントシステムが特徴的であり「楽天経済圏」などとも言われるが、証券・銀行・クレジットカードのシナジーを最大限生かすようなサービス展開となっている。

具体的には、楽天カードで資産運用の積み立てができ、その積み立てに応じてポイントが貯まり、さらにそのポイントでも投資ができるというスキームだ。

株式投資というとリスクが大きく、損をする可能性があるかも、と考える人もいるが、ポイントで投資した場合、そもそも額が小さいため初心者も始めやすく、心理的にも負担が軽い。

今回、NISAについてご紹介し、その裏側ではネット証券がこれまでの資産運用に対する「難しそう」というイメージを一気に崩している背景をご説明した。

確定拠出型年金、財産形成貯蓄制度(財形)、持ち株制度など、なんらかの形で資産運用を行っている人は多いと思うが、これらの制度は給与天引きなどで自動的に引かれているため、あまり自分で運用しているという自覚がない。

自分のお金をNISAで運用することで、より投資に対してオーナーシップを持つことができ、経済動向や株価変動について自分のために知ろうと前のめりになるため、まだ始めていない人はぜひ挑戦してみてはいかがだろうか。