企業の人事業務では、労務管理を正確かつスピーディーに行うことが求められる。しかし、労務管理に当たって必要な業務は様々なものがあり、勤怠管理や給与計算、社会保険や福利厚生の管理、労使関係や安全衛生管理など、その種類は幅広い。

これらの全てを帳票などの紙で管理しようとすると、手間もコストもかかるが、企業活動にはこれらの管理が必要不可欠である。

そこで、これらの労務管理業務をシステム上で入力・提出できるようにしたのが労務管理システムであり、今回は成長を続けているクラウド労務管理についてご紹介したい。

クラウド労務管理の活用メリット

クラウド労務管理の一番のメリットはデータ化されることで、書類と比較したときに圧倒的に効率的になり、管理、メンテナンスがしやすいことが挙げられる。

労務管理を全て紙ベースで行おうとすると、全従業員に対して用紙を配り、回収し、抜けや漏れがないかチェックし、場合によっては提出用の用紙に転記するといった段階を踏む必要がある。

仮に記入ミスなどがあれば該当する従業員に差し戻し、再提出をお願いするなどの手戻りが発生する。

労務管理システムであれば、従業員はシステム上で直接入力すればよいため、「配布」「回収」の負荷を下げることができ、大量の書類ファイルを残す必要もないため、保管場所の確保も不要となる。

次に大きなメリットは役所への書類提出も簡略化することができる点だ。

役所への必要書類の提出を電子申請で行えるようになれば、書類の発送や直接持参などの手間を省くことができる。

万が一、提出書類にミスがあったとしても、システム上で修正すればよいため、再度書類を郵送したり直接役所に持参したりといった手間もない。

また、事情により緊急性のある書類を早期に提出しなければならない場合でも、電子申請を利用することで迅速に対応が可能となった。

落とし穴となるデメリットにも注意

デメリットを挙げるとするなら、各サービスによって対応可能な機能は一律ではないため、自社に必要な機能を正しく選定しないと効果を発揮しにくい点がある。

例えば、勤怠管理や給与計算に特化したシステムもあれば、社会保険関連管理に特化しているシステムもある。

他システムとの連携が可能かというような拡張性も確認しておきたい。労務管理システムだけ独立してしまうと、後で異なるシステムに入れ替えるのは難しくなる。

それゆえ、労務管理システムを導入する際には、労務管理のどの分野をメインに業務効率を向上させたいかを明確にしたうえで、適したシステムを選ぶ必要があるので注意したい。

また、電子申請可能な手続きが増えてきたが、手続きの種類によっては電子に対応していない場合もある。

例えば、健康保険組合や労働保険事務組合の場合は、電子申請が可能なのは一部のみで、基本的には電子申請ができない。

それゆえ、労務管理システムで全てが電子化可能となるわけではない点は注意したい。

CMで露出している主要なプレイヤー

労務管理システムのプレイヤーは近年急増しており、TVCMや特にタクシー内の動画広告で目にしたことがある人も多いのではないだろうか。

有名人を起用したり、キャッチーなフレーズでCMが作られていることが多いため、労務管理システムとして認識していなくても、サービス名をなんとなく知っている人も多いだろう。

以下は主要な労務管理のサービス名となる。

・SmartHR
・freee
・ジョブカン労務管理
・楽楽労務

上記以外にも多くのプレイヤーが参入しているが、特に、SmartHRはCMの効果もあり、認知を取ることに成功している企業の1つだろう。

労務管理システムはどのような企業においても従業員数は違えど、業務自体は必ず発生する。

それゆえ、一度認知を取り、先行者優位を活かして他サービスにスイッチされないように努力をし続けられれば、導入者数に応じて売上を伸ばしていくことができる。

また、労務管理だけでなく、経理、総務、法務などのバックオフィス業務をITの力で効率化しようとしているプレイヤーは増加傾向にある。

市場自体が成長トレンドでは、人の採用も活発になるため、伸びている業界で実力を付けていきたい人にはおすすめの業界の1つとなる。

今回は、労務管理システムについて取り上げた。SaaSビジネスはまだまだ成長トレンドが続いており、バックオフィスの効率化は今後さらに進むと予想されるため、情報をキャッチアップしておくことをおすすめしたい。