不動産に関する専門的な知識やスキルを習得している不動産出身者は、そこでのスキルを活かしてさまざまなキャリアを構築することが可能である。ここでは、不動産出身者のキャリアパスについて見ていきたい。
不動産出身者の業界内におけるキャリアパス
不動産業界出身者が同業でキャリアを構築していく場合、「他社へ転職」「店長職や管理職などへのキャリアアップ」「独立・開業」の主に3つが考えられる。ここでは、それぞれの働き方を詳しく見ていきたい。
他社へ転職
会社でキャリアを積めたと感じたら、新たな環境へ転職するのも選択肢の一つである。
どこの不動産会社でも、基本的な業務内容は変わらないものの、分譲(マンション・一戸建て)、注文住宅、リフォーム、投資用マンションなど扱う物件やサービス内容が少しずつ異なる。そのため、同業であるもののほかのサービスを扱う他社へ転職することも可能である。
また、担当する業務内容は変えたくないものの、さらに高い歩合を求めて転職する人も多い。なかでも多いのが、前職では不動産営業をやっていたものの、さらなるステップとして不動産管理・仕入れの職種へ転職するというキャリアパスである。
不動産業界は、不動産に関する専門知識やトレンドが必要不可欠であるため、転職市場では経験者を積極的に採用する傾向が強い。業界に関する知識がある人のほうが、同業他社への転職で有利に働くだろう。
店長職や管理職などへのキャリアアップ
店長職や管理職など、経営に関わる役職になるというキャリアパスもある。経営に関わるポジションになるには、まずは今の職場で実績を出す必要があるだろう。「社内営業成績がトップ」などの好成績を出し、上司などに目をつけてもらうことが昇進の近道だと言える。
また、経営に関わる場合には不動産の知識や経験はもちろん、マネジメント能力が求められる。企業全体の戦略立案から達成までを管理したり、メンバーの士気を高められるような取り組み・声かけをしたりと、組織をまとめるためのスキル・人間力が必要だ。
独立・開業
ある程度会社で経験を積んだら、独立・開業するという手段もある。独立・開業すれば、自分のオリジナルで事業を進められることはもちろん、収入も努力次第で青天井となる。
また、不動産業は比較的に独立・開業しやすい業種だと言われている。ある一定の条件が整っていれば、公益社団法人全日本不動産協会の支援が得られ、開業資金が大幅に減るからだ。
ただし、開業にあたっては「宅地建物取引業」の免許と「宅地建物取引士」の資格が必要である。さらに、最低限の開業資金は融資などで準備する必要があるだろう。
会社では営業中心だったが、その他の事務作業まで全て自身でやらなければならないため、得意な分野の仕事ばかりできないともどかしさも感じるかもしれない。開業・独立の難しさを覚悟した上で、計画的に準備を進めていくことが重要である。
不動産出身者が他業種・他職種に転身するなら
不動産出身者が、他業界・他業種へ転身する場合のキャリアも考えられる。他業界・他業種でのキャリアを検討するなら、どの業種や職種が自分と相性が良いかを見極めることが重要だ。
不動産コンサルタントへ転身
不動産コンサルタントは、不動産に関する知識と最新の情報を踏まえ、個人や法人の資産運用に関わる仕事である。
具体的には、顧客の不動産の購入や売却、管理、活用、投資などの悩みを踏まえ、適切な解決策を提示する。提案するだけの場合もあれば、提案に加えて実行も行うこともある。
不動産コンサルタントになるにあたっては不動産業界に関する深い知識はもちろんのこと、税務知識やマーケティング戦略など、常に最新の知識をインプットする必要がある。また、大きなお金を動かす仕事だからこそ、顧客との信頼関係構築や相手を動かすコミュニケーション力も欠かせない。
営業のプロフェッショナルを目指す
不動産営業の経験を活かし、営業のプロフェッショナルを目指す道もあるだろう。不動産営業は、数ある営業職のなかでも高額の商品を扱う難しい業務内容であるため、不動産営業の経験はほかの営業職へ転職する際の武器にできるのだ。
人とのコミュニケーションを重視したいのであれば「人材業界の営業」、融資や金融商品を扱いたいなら「金融業界の営業」、医療品や薬品などを扱う「製薬会社の営業」など、さまざまな選択肢がある。
不動産テック企業へ転職
「不動産テック」企業へ転職するのもよいだろう。不動産テック企業とは、IT技術を不動産分野に応用し新しい技術やサービスを提供している会社である。効率化と労働生産性を上げるためにはテクノロジーの導入が必要不可欠であるため、注目度が高まっている。
不動産テックのカテゴリもさまざまだが、以下のような企業がある。
- 物件案内・内見で使用するVR・ARの機器を活用したサービスを提供する会社
- 不動産や空きスペースをシェアするサービスを提供する会社
- 不動産売買・賃貸取引の仲介業務の支援ツールを提供する会社
- AIから不動産価格、賃料の査定などを行うサービスを提供する会社
このような不動産テック系の会社への転職を経て、さらにIT業界までキャリアも伸ばすことも可能である。
キャリアアップに活かせる不動産出身者の専門性・スキル
実績が重視される不動産業界では、今後のキャリアアップのためにも最低限の営業力を身につけることは重要だ。例えば、顧客のニーズを把握して提案するスキル、顧客との信頼関係を構築するコミュニケーション力といった、総合的な営業力が必要不可欠である。
また不動産のプロとして、投資家の投資目的に合わせて信頼ある情報を提供したり、時代に沿った住宅改修のアドバイスを行ったりと、顧客のニーズに応えるためのより高度な専門知識が必要になる。今後のキャリアの選択肢に幅を持たせるには、営業力と不動産業界ならではの知識・経験はしっかりと身につけておきたい。
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