昨今導入が加速する働き方改革だけでなく、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、副業や兼業を検討している人は少なくはない。そのような時代背景もあり、副業や兼業に特化したサービスが台頭している。

副業や兼業の労働者が急増する中、労働人口から見る市場規模や具体的なサービス、そして副業サービスの今後について考察したい。

副業の市場規模

クラウドソーシングサービスを展開する「ランサーズ株式会社」が気になるデータを発表している。具体的には「新・フリーランス実態調査2021-2022年版」のなかで、常時雇用されているが副業としてフリーランスの仕事をこなすワーカーが424万人存在することがわかった。

これは、前回の統計である2020年2月と比較すると、24万人の増加傾向だ。また、同調査により、副業だけでなく兼業も含めれば780万人のワーカーが存在することが明らかとなっている。

780万人という数字は、昨年比110.1%の成長というから、驚きだ。まさに、副業時代の到来であるとともに、副業を容認する企業も増加しているだろうと考察できる。

ユーザーのニーズに合わせた副業サービスも拡充

市場規模の拡大、副業への関心が高まることによって、従来のサービスにはなかった新たな副業サービスも台頭している。ここでは、近年注目を浴びている副業サービスの一部を紹介したい。

MOSH

MOSH株式会社が展開する「MOSH」は「個人の才能をもっと世の中に発信したい」とのコンセプトのもと、講師やフィットネス、ダンスなどを提供する個人がオフライン予約やオンライン販売、月額サブスクリプションを気軽に導入できるサービスである。

予約機能付きのホームページをたった3分で作成でき、予約が入るとZoomのミーティングURLも自動発行する。誰でも気軽にオンラインレッスンを開始できるのだ。現在MOSHには、40,000以上の事業者が登録している。

サンカク

株式会社リクルートが運営する「サンカク」は「社会人インターン」と題して、自身が保有するキャリアがどの程度他社で通用するのか、企業の課題を体験できるインターンシップサービスである。

プロフィールを登録し、興味があるイベントにボタンでアクションすると、それを見た企業担当者が興味を示した場合に、企業の現場に参加することができる。

終業後にコミットする「1DAYインターン」などもあり、自身におけるキャリアビジョンを見直すきっかけにもなるだろう。現時点で退職の意思がなくても気軽に参加でき、社会への貢献度を把握できる。

SOKUDAN

CAMELORS株式会社が運営する「SOKUDAN」は、マーケターやエンジニア、デザイナーを中心に副業やフリーランス案件を探せるマッチングサービスだ。

上場企業からスタートアップまで豊富な案件が揃っており、リモート案件は92%、案件の平均稼働日数は週1〜3日と柔軟な働き方を提供している。企業担当者と直接やりとりできるメッセージ機能も魅力だ。

専門人材のシェアが加速し都市部から地方へ流動化

副業サービスの後押しとなる働き方改革にも注目したい。例えば、新型コロナウイルス感染症の影響によるテレワークの促進に合わせて、Yahoo! JAPANは、2022年4月1日より通勤手段の制限緩和を実施し、社員8,000人の居住地を全国に拡大する「どこでもオフィス」を拡充する。

このようなニューノーマル時代において専門人材が都市部から地方へと流動し、地方の中小企業との人材交流も活発化している。地方が抱える専門人材への課題を解決するだけでなく、デジタル化の促進や社員のやりがい構築にもつながる画期的な取り組みだ。

副業サービスにより専門人材の流動化を促進すれば、民間だけでなく行政にとってもDX化の加速や地方創生へと期待ができるだろう。

今後は新たな副業サービスの台頭と副業人材の活用法に、より焦点が当てられることは言うまでもなさそうだ。