スタートアップの存在感が高まる中、将来的に起業を考えていると言う方も増えてきています。今回は起業を考える方のキャリアパスについて説明していきます。

起業家に必要な力とは?

自身で起業する、または家業を継ぐということを考えている方にとって、まず疑問に思うのはどのような力が必要かということ。

もちろんいろいろな定義ができますが、今回はあえて簡単に
・その領域に強い知見がある
・ビジネスを作る力がある
この2つにスコープを絞って説明をしていきたい。

学生起業家など、若くして会社を起こした経営者が注目されがちだが、実際に統計データをとってみると20代の成功確率はむしろ低く、確かな経験は事業の成功確率を高めてくれることがわかる。

まずは1つ目の「領域への強い知見」について説明をしていきたい。
各業界の内情と言うのは、入ってみないとわからないと言う部分も往々にしてあり、その業界の課題感やビジネスモデルなどを深く理解している事は、起業に大きなプラスとなる。

単なる理解の深さもさながら、コネクションも得られることになる。
例えば医療の領域で起業する場合には、お客さんとなる病院や医者の方とのコネクションが生きてくることもあるだろう。

特に、最初は何の実績もない状態からスタートすることになるので、自分自身を信じて助けてくれる元からのお客さんやパートナーの存在は非常に心強い存在になる。

この点での注意点は、課題間や既存の仕組みを理解することはプラスになるが、その知識に縛られて新しいアプローチを取れなくなってしまうということがないように気をつけるということだ。

2つ目の力は、「ビジネスを作る力」である。
事業アイデアを考え、実現し軌道に乗せていく力は業界を問わず求められる。

その手法論としてリーンスタートアップなど様々な研究が行われているが、やはり実際に経験することが1番の近道である。

この経験は、本当に1から事業を作るだけではなく、社内ベンチャーとして立ち上げたり、新規事業が大きくなっていくその過程や仕組みを学んだりなど、様々な立場から得ることができる。

単にビジネスを作る力と言えば曖昧だが、事業選定のポイントは何か、MVPを作る上で何が大切か、初期のマーケティングはどのようにすべきかといった内容を実感とともに学んでいくのは非常に貴重である。

実際に孫正義や、スティーブ・ジョブズなどもソフトバンクやアップルといった代表的な企業を起こす前に、インベーダーゲームの輸出や電話関連機器の販売など、小規模な事業立ち上げを経験している。

きちんと力をつけることで、自分のやりたい事業を現実にしていくための準備を進めることができるのだ。

具体的なキャリアパスとは?

1つの大きな分岐となるのは、やりたい領域が決まっているかどうかと言うことである。

実家が運送業でそれを継ぐ、といったような話であれば、
運送業界について知見を深めると言う選択肢が出てくるが、やりたい領域は決まっていないと言うことであればまずはビジネスを作る力を鍛えていくべきである。

業界知見を深めると言う方針では、その業界の事業会社に入るかまたは、その業界をクライアントとしている支援会社に入ることをお勧めしたい。

実際に私がお会いしたことがある方では、実家の運送業を将来継ぐために、船井総研で運送業向けのコンサルタントを経験し、そこで感じた課題感と解決策をもとに実家に戻ると言うキャリアを歩んだ方がいた。

このようにその会社自体が業界のプレイヤーでなかったとしても、業界への知見やコネクションを得られる場所であれば有効な選択肢になるだろう。

ビジネスを作る力を鍛えていくと言う方針では、成長しているスタートアップまたは新規事業に積極的な大企業がオススメである。

まずは営業やエンジニアとしてその一端を担うと言う立場でも、どのように事業を作っているか、成長させているかというのを見て学ぶだけでも大きな経験になる。

ベターな環境としては、実力を認めてもらったという前提の上で、事業をリードするようなポジションに移動させてくれたり、良い見本となる優秀なマネージャーがいたりする会社があげられる。

このように、自分の身につけたいスキルを明確にすることで、どうしても曖昧になりやすい将来像に向けて着実に進んでいくことを勧めたい。

将来ぼんやりとした目標やなりたい姿があるが、具体的なキャリアプランに落とし込めていないと言う方は、ぜひご相談いただきたい。

エージェントとしてお話しする中で、キャリアを考える良い機会となれば嬉しい限りである。