この記事では、通信業界について語るとともに、主要なプレイヤー、業務内容、適性、そしてキャリアパスについて解説します。

【業界トレンド】

近年、通信キャリア業界においては、5G技術の普及と携帯料金値下げに伴うサービス範囲の拡大が進んできています。

5G技術は、従来と比べ高速かつ低遅延、そして多数の同時接続を可能にするもので、これにより、IoTの分野の発展を後押ししています。
IoTの発展に伴い、収集・蓄積される個人情報が膨大になるためセキュリティ対策やプライバシーへの配慮など安全性確保が急務となっています。
また、2010年代後半から携帯料金引き下げの動きが進んだことで、大手キャリアは「ahamo」「povo」といった安価な新料金プランを続々と発表しました。

少子高齢化により人口のパイが大きくはなっていかない中で、さらに顧客単価の減少は大きな痛手となり、代理店数の削減など経営の効率化が推し進められています。
また各社が新たな収益源を模索している状況です。
各社決済サービスや動画配信サービスといった消費者の生活において手がける範囲の拡大を狙っているほか、法人向けにはDX推進支援に関する商材を展開するなどあくまで携帯電話をフックとしながら顧客に入り込んでいくことができるかが今後の争点となることでしょう。

【主要プレイヤーと特徴】

【主な職種の業務内容】

営業

通信業界における営業職はさらに下記に二分されます。

・法人営業

法人顧客の課題に対して、通信サービスを軸にソリューション提案を行います。また、パートナー企業との協業提案によるBtoBtoXモデルの創出なども手がけます。

・コンシューマー営業(代理店営業)

販売代理店に対するコンサルティング営業を行い、販売代理店の売上向上に努めます。担当エリアに適したマーケティングを立案し実行する役割も持ちます。

企画

通信事業、その他事業に関わる新サービス企画開発、ビジネス戦略策定を行います。新卒での配属は少数な点は注意しましょう。

エンジニア(ネットワーク、システム、アプリケーション)

サービスの企画・開発・運用・保守を行います。通信業界特有のものとしてネットワークエンジニアがありますが、最先端ネットワーク技術の展開の戦略策定にも携わることがあります。

研究開発(R&D)

ネットワークやデバイスに関する研究開発を行います。次世代通信規格の標準化やユースケースの創出にも取り組みます。

【職種別適性】

営業

・法人営業

首都圏であれば大手企業、地方であれば中小規模の企業を複数社担当することになるため向き不向きに違いがある部分はありますが、顧客の課題に対して複合的な提案を行いたい人には向いています。通信領域だけでは収益が頭打ちになる中でクロスセルの提案が業界スタンダードとなっているため、通信分野を軸とした周辺知識の習得が必要不可欠です。

・コンシューマー営業(代理店営業)

代理店のパートナーとして売上向上の責任を負うこのポジションは、現場の業務改善や人員配置を含め店舗の全体を捉えた課題解決を行う必要があります。そのため、深くまで入り込んで施策の立案、実行を行いたい人にとっては最適な環境でしょう。

企画

通信という金融、その他インフラなど様々な分野とかけ合わせが可能な領域で様々な事業に触れたいといった方には最適でしょう。しかし、社内の多くの部門と連携しなければ進められないことが多いため、組織内の調整の経験に長けていることも重要です。

エンジニア(ネットワーク、システム、アプリケーション)

通信業界は大変変化が早いため、新しい技術の学習への意欲は必要不可欠です。また、学生時代に通信関連の研究を行っているのはマストとなるため、未経験からのチャレンジは難しい特徴にあります。

研究開発(R&D)

他業界の研究開発職同様、中々結果が出ない中で粘り強く取り組む根気は勿論必要ですが、特に最先端技術(AI、機械学習)や最先端領域(フィンテックやスマートシティ)などに対する強い関心を持っていると良いでしょう。

【キャリアパス】

エンジニアや研究開発といった理系の専門職については培った専門性を活かしながら社内でキャリアアップをしていくか、GAFAなどのその他IT企業へ転職をするというキャリアパスが一般的です。まれに専門性を活かしてフリーランスとなる例も存在します。

一方、事務系職種については3年単位での異動が一般的です。それまで営業で経験を積んでいた方が7年目から企画領域にチャレンジするといったことも社内で評価を得ていれば叶えることができるため様々なことにチャレンジしたいといった方にとっては魅力的なキャリアパスが描けます。

しかし、ジェネラリストとして社外で通用するスキルが身につかないという懸念から20代半ば~後半のタイミングでコンサルティングファームやその他IT企業の営業や企画職へのキャリアチェンジを図る方が増えてきています。

以上が通信業界の概要とキャリアパスになります。業界の特性や自身のスキル、興味を考えながら、自分に最適なキャリアを模索してみてください。