右:PwCコンサルティング合同会社 パートナー 高橋 昭憲氏
左:PwCコンサルティング合同会社 パートナー 入江 玲欧氏
総合コンサルティングファームとして著名なPwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)。
なかでも、自動車業界に特化したコンサルティングサービスを提供しているのが「Industrial Products Service-Automotive(以下、IPS-Autoと記載)」と呼ばれる部門だ。
IPS-Autoは、複雑で多様化する自動車業界の課題に対し、コンサルティングの立場から解決を目指している。パートナーとしてチームを牽引する高橋氏と入江氏に両名のキャリアやPwCコンサルティングで働く魅力、また自動車業界が迎える変革期へのアプローチについて話を伺った。
PwCコンサルティングのIPS-Autoで働く魅力・やりがいとは
PwCコンサルティングには様々なバックボーンを持つメンバーが集まると聞きますが、キャリアの変遷および入社の理由をお伺いできますか。
高橋氏:
ファーストキャリアはシステム会社よりスタートしています。
外資系コンサルティングファームへの出向も経験しており、コンサルティング業界とは近しいところからキャリアは始まっています。
出向先と自社での仕事をそれぞれ経験した頃、自ら何かを成し遂げる仕事がしたいと思い、コンサルティング会社へ入社しました。
その後、組織変遷に伴う社名変更なども経験し、現在に至ります。
PwCコンサルティング入社の決め手は、説明会や面接で人材への親身な姿勢を感じたことです。
コンサルティングファームへの出向経験はあるとは言え、異業種出身でしたので、面接官が「今後のキャリアをどのように描いていくか」を丁寧にアドバイスしてくださったことが大きな決め手になりました。
入社後は、以前SAPの会計領域におけるパッケージソリューションを作っていたこともあり、SAP関連でベースキャリアを構築し、10年以上ソリューション側のコンサルティングサービスを経験しました。
その後、さまざまな業界を担当しましたが、トータル10年以上、自動車業界のクライアント支援に携わったこともあり、現在はパートナーとして、製造業の中でも自動車部門に特化しているIPS-Autoをリードしています。
入江氏:
大学卒業後は、システム開発会社のSEとしてシステム構築・プログラミングを行っていました。
当時は一次受けした企業から開発を委託され、業務を進めていましたので、どうしてもお客様の顔が見えずニーズの把握に苦労したことを覚えています。
また、システムを作っていくなかで「本当はこうしたほうがいいのに」と思うことも多々あり、実際に導入してみるとお客様のニーズに合致していないと感じることもありました。
このような経験から、お客様と直接会話をして業務要件をすり合わせ、システムに反映する仕事がしたいと思い、PwCコンサルティングに入社しました。
トータルで18年間コンサルティングのキャリアを積んでいますが、一貫して自動車部品関連のクライアントを担当しています。
私がPwCコンサルティングへ入社を決めた理由は、2点あります。
1点目は、基本的にPwCコンサルティングはクライアントのプライムコントラクタですので、クライアントと直接業務の検討ができると考えました。
2点目は、自分が成長できる環境があると判断しました。
クライアントの事業成長に貢献できる人材であるかという採用観点だけではなく、私のキャリアに真摯に向き合ってくれていると感じられたのは大きかったです。
面接の場でありながらも、パートナーから「コンサルタントになった後どのようなステップを歩めるか、どのような選択肢があるか」を説明していただけたので、納得感を抱いて入社できたのを今でも覚えています。
現在パートナーとしてご活躍されていますが、職位ごとに責任範囲とやりがいに変化はありましたか。
高橋氏:
私はシニアアソシエイトからスタートし、4年ごとに職階が上がっていきました。
私の場合、「各職階で与えられる責任をきちんと満たし、次の職階にチャレンジできる状態から次の職位に上がる」という着実なルートを歩んでこられたと思っています。
職階が上がっていくなかで大きく変化したのは、責任範囲の広がりです。
シニアマネージャーに上がると、売り上げなど数字の責任が生まれますが、マネージャーのときに自ら提案・契約・デリバリーするなど、一気通貫で対応できた経験が卒業要件を満たし、着実にキャリアを積み上げられたのだと考えています。
入江氏:
やりがいは3段階のステップで徐々に変わっていきました。
アソシエイトやシニアアソシエイトなど初期の頃は、私が作成した資料に対し「よかったよ」と認めてもらえることでやりがいを感じ、それがまい進できる要因になっていました。
そして、マネージャーやシニアマネージャーになると、案件を受注することにやりがいを感じるようになりました。
さらにディレクターやパートナーになると、クライアントから自分のチームメンバーが褒められたり、評価されたりすることにやりがいを感じるようになりました。
各フェーズでやりがいを感じながら目標を徐々に達成できたことで、キャリアアップにつながったのだと思います。
変革期を迎えている自動車産業の現状と課題、中長期的な方向性やトレンドとは
自動車業界は、さまざまな課題に直面しています。
EV化の推進、モビリティの発展、サステナビリティ・SDGsへの対応など、挙げれば枚挙にいとまがないですが、現在IPS-Autoとして取り組まれている自動車業界の課題は何でしょうか。
高橋氏:
自動車業界に関する課題はテーマで見ると大きく4つに分けられます。
1つ目はEV関連で、EV化による車の部品構成が変化し、バッテリーなどの新たな調達に伴い、サプライチェーンの見直しや再構築が必要となってきています。
「バッテリーをどこから調達するのか」「どの企業と連携するか」などの課題を解決するには、これまでと全く異なる付き合いや商流が必要になります。
2つ目はSDV(Software Defined Vehicle:ソフトウェア定義型自動車)です。
これまで製造業としてモノ造りに注力してきた自動車業界は、ソフトウェア開発については専門ではありません。
そのため、異業種のソフトウェア会社・ベンチャー企業と協働し、新しいビジネスを作る必要があります。
3つ目は、LCA(Life Cycle Assessment:環境負荷を定量的に評価する手法)です。
カーボンニュートラルや環境課題へ要請が強まるなかで、GHG排出量自体を算定し公表することが求められています。
LCAのプロジェクトでは、PwCコンサルティングだけでなくだけでなく、PwCあらた有限責任監査法人やPwC税理士法人と協働で監査・保証業務も含めてサービスの提供が可能です。
そして、最後の4つ目は「モノ売りからコト売りへの変化」です。
近年は、車の販売だけで収益を上げるのが難しくなり、自動車業界の「売り方」が変容しています。
インターネット販売が主流になったことで、ディーラーが仲介することなく、自動車会社が直接顧客に販売できるようになりました。
そうなると、自動車会社が顧客の個人情報を管理するようになり、そこに新たなビジネスチャンスが生まれます。
新たなビジネスチャンスに対し、何ができるのかを検討し提案するのが、私たちの責務です。
入江氏:
昨今のCOVID-19の影響や半導体不足による生産の混乱により、自動車部品を取り扱うOEMメーカー(Original Equipment Manufacturer:他社ブランドの製品を生産するメーカー)の受注変動が大きくなっており、サプライヤーとしてもサプライチェーンのコントロールが困難となっているという課題があります。
その点、当社にはこのサプライチェーンのコントロールを支援できるノウハウが蓄積されていますので、大きな強みだといえるでしょう。
もう一つの課題は、地政学リスクも踏まえて各メーカーは「どの国や地域に生産拠点を作るのか」を考え直す局面にある点です。
国や地域ごとに、法規制や優遇措置は異なります。
そのため、経営戦略として「最も効率的に生産できるのはどこか」を検討することは非常に重要です。
ただ、最適な生産拠点を見つけるのは簡単ではありません。
そこで当社では、IPS-Auto単体だけでなく、PwC Japanグループ横断の地政学リスクを専門で扱うチームやPwC税理士法人の関税を専門で扱うチームなどと連携して、サプライチェーンの改善に対応できる体制を整えています。
当社の連携体制や蓄積したノウハウに加え、自動車業界に詳しい人材が各所に多数在籍している点も強みです。
自動車業界が抱える大きなテーマに対応するには、部門や企業の垣根を越えたコラボレーションが必要になると伺っています。実際にPwCコンサルティングでは、どのように連携を図っているのでしょうか。
高橋氏:
PwCでは、自動車業界が抱えるLCAという一つのテーマに対してPwCアドバイザリー合同会社やPwCあらた有限責任監査法人、PwCサステナビリティ合同会社などと連携する体制を整えています。
国内にとどまらず、PwCグローバルネットワークのなかで米国・欧州・アジアとも連携しています。
現状、顧客が抱える課題は複雑かつ高度であるため、単体で解決できるような内容ではありません。
海外のPwCメンバーファームには各拠点にプロフェッショナルがいるので、そこと連携して解決していく場面が度々あります。
この連携力を高める施策として、日本企業をグローバルでどうサポートしていくかを検討するミーティングが定期的に行われています。
入社後のキャリアをサポートする充実した育成制度。採用したい人物像とは
PwCコンサルティングならびにIPS-Autoでは、職員に対してさまざまな研修・教育プログラムを用意されているとお伺いしますが、具体的にどういった育成制度を設けていらっしゃるのでしょうか。
高橋氏:
中途採用で入社の場合、まずコンサルティング未経験者はコンサルティングの基礎をテーマとした研修を約1カ月にわたって受講します。
「自動車業界出身で専門性はあるけれど、コンサルティングが初めて」という方でも、安心して入社できるのが特徴です。
その他、PwCコンサルティングではコーチング制度を導入しています。入社後、コーチとキャリアや目標について話し合う場や都度キャリア相談の場が設けられています。
さらに、入社後にメンバーと気軽に話せるよう、バディ制度が用意されているのも特徴です。
入社直後は不安だと思いますが、フォローアップが充実しているため安心して入社いただけます。
入江氏:
IPS-Autoでは、自動車に関する専門的な研修も実施しています。
研修では、職人技を持っているエキスパートが中心となり、若手メンバーも一緒に教育コンテンツを作成しています。
エキスパートが一方的に指導するのではなく、若手メンバーが主体となり教育コンテンツを作り全員で取り組んでいるのが特徴です。
立場を越えてお互い切磋琢磨しながら、教育に力を入れています。
キャリアを取り巻く環境が変化する昨今ですが、キャリア形成という観点ではどういったサポートがあるのでしょうか。
入江氏:
高橋からもあったように当社はコーチング制度を導入しています。チームのなかにコーチがいます。
必要な時には、チームリーダーとコーチとメンバーの3者面談を実施し、フォローアップをしています。
また、メンバー層だけでなくマネージャー・シニアマネージャー・ディレクターにもコーチがつき、キャリア面談を行っています。
マネージャーのキャリア面談は比較的手厚く行っています。なぜなら、職階が上がるにつれて「キャリアの方向性を変えたい」と希望する人が一定いるためです。
ただ、キャリアチェンジにはリスクが伴います。
そのため、一人ひとりの成果や特性を精査したうえで、今後のキャリアに向き合える面談を行うようにしています。
高橋氏:
IPS-Autoでは、月1回コーチが全員集まり、「悩みを持つ職員との面談をどう行うか」を相談する場を設けています。
コーチ間で相談を実施することで、さまざまなアドバイス・支援方法が共有できるのがメリットです。
PwCコンサルティングならびにIPS-Autoには、様々なバックグランドを持つ人材が活躍できる場が用意されていますが、どういった方を採用したいと考えていますか。
高橋氏:
スタッフレベルの方でしたら、コンサルティングファームでの経験も重要ですが、事業会社での専門的な経験を持つ方も積極的に採用しています。
マネージャー以上の方であれば、コンサルティング業務の経験に加え、「なぜ当社に転職したいのか」が明確な方が望ましいです。
Win-Winの関係性になれる根拠・理由を明確に伝えていただける方が、当社とマッチしやすいと考えています。
入江氏:
たとえコンサルティング未経験であっても、「クライアントに対して課題を解決し貢献したい」という気持ちが強い方にぜひ入っていただきたいです。
また、一緒に切磋琢磨して自動車業界を盛り上げていきたいので、そこに共鳴いただける方は最適だと思います。
IPS-Autoでは、入社後の各種研修でコンサルティングのベースとなるスキルを学ぶことが可能です。
これまでの自動車業界の知見とベーススキルを活かして、ご活躍いただけるような人材を期待しています。
さらにPwCコンサルティング全体に言えることですが、知的好奇心が旺盛な方に入社いただきたいです。
コンサルティング業界はトレンド・手法などの移り変わりが激しいため、常に学びとる姿勢が大切です。
新しい事柄を学ぶことに積極的かつ意欲的な方は、当社とマッチすると感じています。
高橋氏:
また、別の観点ですが、未経験分野をはじめ、やりたい内容から離れた事柄に対しても、果敢に挑戦できるマインドセットが大切だと思います。
コンサルティングサービスを行っていくうえで、ときには自身のやりたいことから外れた内容に直面するケースがあります。
ただし、これまでの経験・スキルで解決できなかったり自身の希望と異なったりすることで投げ出すようでは、成長は見込めません。
自分にとって難しい・不安と感じる課題を無事解決できれば、自分のやりたいことが変化する可能性もあります。
自分のやりたいことではないからとマイナスに捉えるのではなく「新しいことをやるチャンスが生まれた」とプラスに考えられる方が、当社に向いていると思います。
PwCコンサルティングはグローバル市場においても活躍の土壌があると思いますが、具体的にどのような挑戦の機会があるのでしょうか。
高橋氏:
国境を越えて、一定以上の職階や同じ役割を担っているPwCのメンバーを集めたミーティングや研修が多くあります。
海外で働いた経験があれば、PwCでもグローバルで働くイメージがしやすいと思いますし
そのような経験がなくとも、グローバルに目を向けた取り組みに参画した経験があれば素質があると言えるでしょう。
まずは、グローバルモビリティのプログラムやパートナーと一緒に、グローバルの取り組みを促進する活動に入りながら、経験・スキルを磨いてもらうことが大切です。
活動を続けていくことで、海外が絡むプロジェクトが立ち上がれば、自然と声がかかる流れとなっています。
海外プロジェクトに参画しつつ、マネージャー、シニアマネージャーと職階が上がれば、一定期間赴任できる機会が得られる可能性があります。
PwCコンサルティングファームの役割やIPS-Autoとしての組織ビジョンとは
解決すべき課題が複雑かつ多様化している現代において、PwCコンサルティングはどのように課題解決にアプローチしていくのでしょうか。
高橋氏:
おっしゃる通り、近年コンサルティングに関わる課題が複雑かつ困難になり、課題解決には社内外のステークホルダーや専門家との協働が欠かせません。
例えば、自動車ではない通信業界や金融業界と連携する、もしくはほかのプレイヤーと手を組んでプロジェクトを進める必要性が生まれています。
そのため、多様な知見・経験を持つ人材を集め、さまざまな課題に対応できる体制を構築する必要があります。
入江氏:
当社が提供できるサービスの規模を大きくしていくのが、今後の目標です。
規模を拡大できれば、クライアントが抱える課題を解決できる範囲も広げられます。
私たち自身が成長していくことで、よりクライアントや社会に対しての貢献度を高められると考えており、そのための活動を精力的に行っています。
高橋氏:
自動車業界は、これまでサプライチェーンごとに改善を行えば解決できた問題が、CASE(※)の概念が広がったことにより、そうはいかなくなりました。
※CASE(Connected:コネクテッド、Autonomous:自動運転、Shared & Service:シェアリング、Electric:電動化)
複雑化する自動車業界への支援では、「社会・環境に対してどのように貢献できるか」を日々検討しています。
関係各所と一緒に未来を創造することが、組織全体の方向性となっているのです。
また、クライアントに関しては同じ自動車部品メーカーでも特色はさまざまです。
そのため、まずは現状どのような課題を抱えているか分析し、PwCのサービスを踏まえて提案していく流れを採用しています。
提案に合意いただければチームを結成し、よりよい未来を創造できるようにサポートを行います。
なお、クライアントの未来を創造していくには、クライアントとの密なリレーションが欠かせません。
経営層はもちろん現場レベルで動く方々とも、今後を見据えたリレーションを構築することが鍵となります。
数年、数十年スパンでの支援によって好循環を生むためにも、信頼構築の重要性を感じながら行動することが大切です。
入江氏:
自動車業界、特に自動車部品の顧客と関わる際には、これまでの歴史や培ってきた技術などを尊重することが大切です。
業界の慣習として、独自で販路を確立する風潮が薄い傾向があります。
こちらとしては、販路を開拓する必要性を説きつつも、課題や希望をヒアリングしながら提案することが大切だと感じています。
また、IPS-Autoではクライアントのプロジェクトを俯瞰し、第三者視点で見るスタンスも大事にしています。
事業会社のなかでは、各部門間の壁があり、中々全体最適なプロジェクト推進を行う事ができない場合があります。
第三者視点で事業部門と管理部門の役割を明確化するなど、プロジェクトを円滑に進められる方法を精査し提案しています。
今後、PwCコンサルティングへの入社を志す方へメッセージをお願いいたします。
高橋氏:
日本の自動車業界は「車を造る」という既存事業に加え、時代の変化に沿った新規事業を並行して進めていく必要があり、当社はその両面を支援しています。
入社希望の方は、これまでの経験・スキルを活かせる場面はいくつもあると思いますが、一方で未経験の事柄に対しても次々と取り組む必要があります。
その際には、新しいことへの挑戦に臆せず取り組んでもらいたいです。
やはり、何事にもポジティブに捉えて取り組める方が、将来的に自身のやりたい方向へ進めると思います。
入江氏:
近年はサービスも多様化していますので、当社での活躍の仕方はさまざまです。
入社後も諦めず挑戦していただきたいと思っています。
コンサルティング業界が未経験でも、PwCコンサルティングには活躍・成長できる基盤が用意されています。
情熱・やる気があれば活躍できる環境が整っているため、ぜひ臆せずご応募いただければうれしいです。
※法人名、組織名、役職、インタビューの内容等は取材当時のものです。
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