生成AIやブロックチェーン技術など、テクノロジーの急速な進化に伴い、企業は世界中で激しい競争に直面している。特に日本企業にとって、英語によるコミュニケーションが大きな課題となっている。

コロナ禍を経て、ビジネスの進め方は大きく変化し、英語でのコミュニケーションがますます重要になっている。本コラムでは現代において求められるグローバル人材について解説する。

グローバル競争の現状

Web会議の普及により、コミュニケーションの頻度が増し、多くの部門の人々が会議に参加するようになった。その場で自分の意見を即座に述べる能力が求められるようになり、英語力の必要性が一層高まっている。

業務で英語を使う人が増える中で、自動翻訳ツールや生成AIの利用が広がるのは自然な流れであるが、正確な英語を使うためには自分自身での確認が不可欠である。

自動翻訳ツールや生成AIを活用することで、生産性の向上は期待できるが、その結果をそのまま使用するのではなく、文脈や相手との関係性に合った表現を選ぶことが重要である。AI翻訳の結果を適切に取捨選択できる英語力を身につけることが、競争に勝つための基本となる。

また、「英語公用語化」の第二の波が来ていると言われる現在、特にIT企業では多国籍な職場環境が進んでいる。

優秀な外国人エンジニアを採用するためには、英語でのコミュニケーションが取れる職場環境が必須である。英語でのコミュニケーション能力は、競争優位性を確立するための大きな武器となる。

求職者に求められるスキルとは

グローバル競争に勝つためには、経営戦略に基づいた人材の採用・育成・配置が重要である。

例えば、海外売上高比率の増加を目指す企業では、英語を経営目標達成のための重要な業務スキルと位置づけている。求職者視点では、経営戦略を実行する上で、あるべき人物像を理解し、それに即したスキルや経験を積むことが極めて重要である。

英語力が高くても、グローバルビジネスで成功するとは限らない。

必要なスキルをピラミッド型で表すと、基礎となる英語コミュニケーション能力に加え、業務知識や専門スキル、交渉力やプレゼン力、異文化対応力やリーダーシップが重要である。

勿論、英語コミュニケーション力は、前提として必要なスキルである。英語というと「話す」力に焦点が当たりがちであるが、「聞く」力が大切である。

ビジネスコミュニケーションでは、まずは誤解なく正確に相手の話を理解することが極めて重要である。そして、話す内容はある程度事前に準備できるが、議論の場では相手の発言を聞き取れないと的を射た発言はできない。

聞く力を高めるためには、日常的に英語でのリスニングを行うことが必要である。

例えば、英語のニュースを聞いたり、英語でのポッドキャストを活用したりすることで、リスニング能力を向上させることができる。

さらに、実際のビジネスシーンでも英語を使う機会を増やし、実践的なリスニングスキルを磨くことが重要である。

生成AIとの正しい向き合い方

先に述べた通り、テクノロジ―の進化は日進月歩で進んでいる。自動翻訳ツールや生成AIの利用が広がるのは自然な流れである。一方で、現代のビジネスマンにとって、英語を学ぶ意義は依然として大きい。

例えば、専門性の高い文章や、比喩表現やイディオムなど微妙な文化的ニュアンスを汲み取る必要のある文章は生成AIの苦手分野だ。

ChatGPTは、インターネット上のテキストデータを学習元にしているため、翻訳では元の言語のニュアンスを100%伝えることはできない。

また、精度の観点でも生成AIはまだ完璧ではない。英語のメールを書く際にAIを使うことはできるが、その内容が意図通りかどうかを確認するためには、ある程度の英語力が必要だ。

何も考えずに送信すると、誤解を招く可能性がある。AIはあくまでアシスタントとして利用し、自分自身のスキルを磨くことが重要である。

その上で、学習ツールとして生成AIを活用するのは非常に効果的だ。

例えば文法上の誤りをチェックする為に利用したり、話し相手としてアウトプット学習に用いることが出来る。

或いは、使いどころがよく分からない用例があった際に、その用例を使った例文を作成してもらう事で具体的な使い方を学習していく事もオススメだ。

このように、求職者がグローバル競争に勝ち残るためには、テクノロジーの進化に対応しつつ、英語力を含む多様なスキルを育成することが求められる。

特に、英語力に関しては、単に話す力だけでなく、聞く力や文脈に応じた適切な表現を使いこなす力が必要である。

最終的には、自身のキャリアにおいて英語力を高め、グローバルな視点で物事を考え、行動できる人材を目指すことが成功に直結するだろう。