ビジネスではプレゼンの機会が非常に多い。新規企画提案、合意形成、課題と対応報告など、短時間で伝えたいことを相手に伝えなければならず、上手い・下手が分かれてしまうことが多い。今回は、その中でも社外におけるプレゼンのポイントについてご紹介したい。

プレゼンにおける社内・社外の違いとは?

前提として、プレゼンにおける社内・社外の違いとは何か確認していきたい。

例えばだが、社内はサッカーの試合におけるホームゲームと考えられる。社外はアウェイゲームだ。社内であれば、プレゼンを聞く人々は伝えたいことの文脈・問題意識・ゴールをある程度意識できていることが多いだろう。

社内プレゼンの主なゴールは決済や予算を採りにいくことが多いと思うが、事前にいかに決済権限者にインプット・調整できるか、という観点も重要なため、プレゼン前から勝負が始まっていることも多い。

一方で、社外であれば、文脈・問題意識・ゴールを同じように意識できていることは少なく、プレゼンが始まるそのタイミングで何の話を聞くのか知る人もいるだろう。

例えば、契約を取るためのプレゼンであれば、お金を支払う価値があるか、投資するに値するか、といった観点でプレゼンを聞いているため、デメリットやリスクも重要視している。

社内と社外を単純に比較した場合は、聞き手の前提意識が異なるため、社外プレゼンのほうが相手を動かすのは難しくなる。

プレゼンするときに誰が聞いているのか、どのような立場なのか、前提知識がどの程度あるのか、というオーディエンスの特徴を掴んでおくことは非常に大事だ。

共感⇒信頼⇒納得⇒決断のステップ

社外プレゼンの場合、前提を共有できていないことが多いと説明した。それゆえ、次のステップで話を展開することをおすすめする。「①共感⇒②信頼⇒③納得⇒④決断」の流れだ。

この流れはオーディエンスの感情の動きの流れであり、プレゼンの流れ「①課題(共感)⇒②原因(信頼)⇒③解決策(納得)⇒④効果(決断)」に対応させると非常に効果的だ。

冒頭の共感ステップでは、オーディエンスがこのプレゼンは自分にとって必要なプレゼンである、と感じてもらう必要がある。プレゼンの課題・意義について「わかるわかる」と共感してもらうことがプレゼンの掴みとして重要となる。

ここで注意したいのは、スライドに多くの文字・情報を記載して伝えるのではなく、右脳に働きかけるように画像・ビジュアルを使用して、キーメッセージを強調して、イントロダクションを行うことが大事だ。

次に、②信頼ステップで「この話は聞くに値しそうだ」という信頼を得ることが必要になる。

課題の原因を共有することがプレゼンのコンテンツとなるが、共感を得られている前提で、定量的なデータやグラフなどを用いて、オーディエンスの信頼を得られるようにする。

今後は左脳に訴えかけるイメージとなる。定量的なデータなどは情報鮮度と出典がポイントとなる。データは日々アップデートされ続けているため、いかに最新の情報を権威あるデータソースから持ってこれるかによって、説明に対する信頼度は大きく変わる。

次は③解決策の提示で納得してもらう。「なるほどそれなら課題解決できそうだ」「試験的に導入してみたい」と解決策を聞いてオーディエンスが前のめりになるように持っていくことがポイントだ。

最後は④効果で決断・意思決定を促す。最終的な意思決定にはどの程度の効果・インパクトがあるのかという観点が非常に重要となる。

1回のプレゼンで契約成立まで進めることができなくとも、「もう少し話を聞いてみたい」「個別に提案のタイミングを調整したい」と思ってもらうことができれば目的は達成される。

社外プレゼンは「感情」にアプローチする

「①共感⇒②信頼⇒③納得⇒④決断」のステップをご紹介したが、オーディエンスの感情の動きの把握しながら、プレゼンを展開することが非常に重要となる。

プレゼンはシンプルかつロジカルであることが非常に重要であるが、相手に行動を促す、意思決定してもらうためには「感情」の要素もきっちり抑えておかなければならない。

人はすべて合理的に判断できるほど完璧な存在ではないため、感情に左右される部分が必ずある。一方で、感情だけでは人は動かないし、判断できない。

相手に刺さるプレゼンというのはシンプル、ロジカル、感情の三要素が充足し、相手の感情が決断に向かうようにデザインされているのだ。

以上、今回は社外プレゼンのポイントについてご紹介した。社内外問わず、プレゼンをする機会はビジネスにおいて非常に多いため、今回の観点を業務に活かして実践していただければ幸いである。