この記事では、コンサルティング業界について語るとともに、主要なプレイヤー、業務内容、適性、そしてキャリアパスについて解説します。

【主要プレイヤー】

戦略コンサルティングファームは、ビジネスの最上流テーマ・課題に取り組むことが多く、企業の経営戦略や事業戦略を設計・策定する専門的なサービスを提供します。例えば、中期経営計画策定、新規事業立案、M&A戦略、組織再編等に焦点を当てています。主要なプレイヤーとしては、マッキンゼー&カンパニー、ボストン・コンサルティング・グループ、ベイン・アンド・カンパニー、ATカーニー、ローランドベルガー、ドリームインキュベーター、経営共創基盤などがあります。

総合コンサルティングファームは、戦略だけでなく、オペレーション、テクノロジー、HRなどの広範な領域でのコンサルティングサービスを提供します。企業の経営全般に対する包括的なアドバイスを行うのが特徴で、業界軸で支援するインダストリーチームと解決策別のソリューションチームのマトリックス構造で組織が作られていることが多いです。主要なプレイヤーとしては、BIG4と呼ばれる、デロイト、PwC、EY、KPMG、アクセンチュア、ベイカレント、アビームなどがあります。

ITコンサルティングファームは、ITの専門知識を活かして、企業のIT戦略立案、システム導入、セキュリティ対策などを支援します。最新のテクノロジー動向を理解し、それをクライアントのビジネスに適応させることを得意とします。主要なプレイヤーとしては、IBM、アクセンチュア、シンプレクスなどがあり、SIer業界となるNTTデータやNECなどもITコンサルの領域を伸ばしております。

【業務内容】

コンサルティングファームは、企業や組織が抱える課題を解決し、ビジネス成長を支援するためのプロフェッショナルサービスを提供します。その業務内容は非常に幅広く、クライアント企業のビジネスモデル、戦略、オペレーション、技術、人材、組織構造など、企業経営に関わるあらゆる側面をカバーします。

戦略コンサルティング: コンサルティングファームの中でも特に知られている業務が戦略コンサルティングです。これは、市場分析、競合分析、ビジネスモデルの設計、成長戦略の策定など、企業の長期的な成功を目指したアドバイスを提供します。

業務コンサルティング: 企業の運営プロセスやサプライチェーンの効率化を図ることで、業績を改善する支援を行います。これはコスト削減、リスク軽減、製品品質の改善など、具体的な運営改善策の提案と実施を含みます。

テクノロジーコンサルティング: ITシステムの設計、開発、導入、改善などを行い、デジタルトランスフォーメーションを推進します。また、新たなテクノロジーの導入によるビジネスチャンスの創出や、セキュリティリスクの管理なども対応します。

人材・組織コンサルティング: 人材の能力開発、リーダーシップの強化、組織の変革など、人材や組織面からビジネスパフォーマンスを向上させる支援を行います。また、企業文化の改革やダイバーシティ&インクルージョンの推進なども含みます。

ファイナンシャルアドバイザリー: 企業の財務管理、税務、監査、リスク管理、M&Aのアドバイザリーなど、企業の財務状況を強化する支援を行います。

これらの業務を通じて、コンサルティングファームはクライアント企業の競争力を高め、持続可能な成長を実現することを目指します。

【適性】

コンサルティングファームに向いている人は、論理的思考能力とコミュニケーションスキルを持ち、新しい情報を迅速に学び吸収できる柔軟性があります。また、高いストレス状況でも冷静に判断し行動できる耐性と、既存の枠組みにとらわれず新たな視点で物事を捉えることのできる創造性も重要です。

クライアントの問題を解決するためには、深い理解と分析が求められるため、主体的な学びと問題解決能力が必要です。また、チームワークが重視される業界なので、他者と協力して目標に向かう能力も欠かせません。

また、コンサルタントはマインドセットとして「クライアントファースト」の精神を持っています。これは、自己の利益よりもクライアントの成功を優先する姿勢を示します。問題解決のために最適なアドバイスをするためには、客観性と公正性が求められます。

さらに、価値観として利他的な人はやりがいを感じやすいでしょう。これは、自分だけでなく、チームやクライアントの成功を喜べる能力です。他人を助け、支援し、成功を共有できる人は、コンサル業界が合っていることが多く、やりがいを持って働くことができると思います。

そして、これらの価値観を持つ人は、解決策を提供するだけでなく、クライアントとの長期的な信頼関係を築くことができます。また、自己啓発を怠らず、持続的な学習と自己改善を進める能力も重要です。これらの特性は、業界の速い変化に対応し、クライアントのビジネスを支援するために必要です。

【キャリアパス】

新たなコンサルタントとしてのキャリアは、通常、アナリストまたはコンサルタントという役職から始まります。ここでは、データの収集と分析、プレゼンテーションの準備、クライアントとのミーティングの支援など、プロジェクトの一部を担当します。これは、ビジネスの問題解決を学び、コンサルティングの基礎を身につける重要な段階です。

経験を積むにつれて、次のステップはシニアコンサルタントまたはマネージャーの役職に昇進することです。この段階では、プロジェクトの一部ではなく全体を管理し、クライアントとの主要なコミュニケーションを担当し、チームの進行状況を監督します。これには高いリーダーシップと管理能力が求められ、更に専門知識を深めることも必要です。

最終的に、成功したコンサルタントはパートナーやディレクターになることができます。これは、組織全体の戦略を立て、新たなビジネスを開拓し、クライアント関係を深める役割を果たします。プロジェクトを組成するセールスはこのレイヤーが担うことが多いです。同時に、社内のリーダーとして、チームや個々のメンバーの育成にも貢献します。

しかし、全てのコンサルタントが必ずしもこの道を辿るわけではありません。一部のコンサルタントは特定の業界や機能に深く特化し、その分野のエキスパートとしてキャリアを進める人もいます。また、コンサルティングの経験は他の業界や役職に転職するためのキャリアのハブとして効果的な場合もあります。

これはコンサルタントの経験が汎用性が高く、高いビジネススキルを持ち合わせていることが多いことから、様々な業界・企業にコンサル卒業後のキャリアを広げている人も多いことからキャリアのハブとして位置付けられることがあります。