この記事では、外資系IT業界について語るとともに、主要なプレイヤー、業務内容、適性、そしてキャリアパスについて解説します。
【業界トレンド】
昨今の外資系IT業界では、働き方改革でコラボレーション系のクラウド関連製品が好調でしたが、コロナ禍におけるテレワークが後押しをし、SaaSが伸び続けています。
顧客が求めるニーズによって変化が激しい業界であり、引き続きERPやCRMなどの業務プロセス領域のニーズはありつつ、サイバーセキュリティ対策やバックオフィス関連などの非フロント領域製品への注目が高まっています。
日本国内のITニーズはアメリカより10~20年遅れていると言われており、今後の日本市場ではフロントのシステムだけでなく、非フロント領域でもクラウド製品を複数導入して効率化していく流れが見込まれるため、ビジネスチャンスは拡大の余地があります。
【主要プレイヤーと特徴】
【主な職種の業務内容】
営業
外資系IT業界における営業職はさらに下記に二分されます。
・法人営業
法人顧客の課題に対して、自社製品を軸にソリューション提案を行います。コンサルティング営業と呼ばれるように、顧客ニーズに合わせてカスタマイズして提案することが求められます。
・アライアンス営業
協業先を探す営業活動を担当します。販路拡大だけでなく、パートナー企業と協業してビジネスを推進する役割も担っています。
エンジニア
外資系IT業界におけるエンジニア職はさらに下記に二分されます。
・ソフトウェアエンジニア
アジャイル開発やオープンソース、クラウド・コンピューティングの知識を活かし、お客様のビジネスにインパクトをもたらすプロジェクトにエンジニアとして参画します。
・サポートエンジニア、カスタマーサクセス
お客様と直接コミュニケーションを取り、課題を解決するサポート部門です。 お客様に製品を長く使っていただけるよう顧客満足度の向上を目標とした重要な役割を担っています。
SE(プリセールス)
システム構築やソフトウェア製品を販売・導入する際に、営業担当に同行し、技術的な知識を用いて、営業担当をサポートします。
【職種別適性】
営業
・法人営業
実力主義の外資系企業では成果が最重要視されるため、体力的・精神的にもタフな人に向いています。変化のスピードが速い業界のため、常に最新情報をキャッチアップすることも求められます。担当顧客は業界カット、従業員数カットなど会社によって様々で、業界の知見を深めるポジションと、ゼネラルな課題解決スキルが身につくポジションに分かれています。
・アライアンス営業
ビジネスパートナーとしてコンサルティングファームなどと協業してプロジェクトを進めていくので、社内外のステークホルダーを巻き込む能力が求められます。
エンジニア
・ソフトウェアエンジニア
IT業界は変化が早いため、新しい技術の学習への意欲は必要不可欠です。製品開発のエンジニアは海外本社でのみ採用している企業も多く、日本法人では構築や実装段階での技術を求められる傾向にあります。
・サポートエンジニア、カスタマーサクセス
既存顧客の解約を防ぐことをミッションにしているため、顧客の求めている技術的な課題を把握し解決まで導くコミュニケーション能力と思考力が求められます。製品のアップデート情報が海外本社から降りてくるため、ビジネスレベルの英語力も求められるポジションです。
SE(プリセールス)
一般的に技術営業と呼ばれ、技術を求められる上で顧客折衝も発生する役割になります。そのため、技術に詳しいだけでなく、コミュニケーション能力も求められます。
【キャリアパス】
外資系IT業界は基本的に職種別採用を行っているので、前提として特定の職種における専門性を磨いていくことになります。社内ではプレイヤーを極める人、後にマネージャーとしての経験を積む人に分かれていきます。
一般的には同業界の中で転職をすることになりますが、営業職の場合、無形商材のソリューション提案の経験を活かして他業界に移るキャリアパスも存在します。営業の場合はプレイヤー経験を活かし、企業規模の小さい外資系ITベンダーのマネージャーポジションへキャリアアップしたり、市場拡大の見込める企業の営業職に移りインセンティブを稼ぐ人が多いです。
若手のキャリアパスとしては、コンサルティングファームへ転職する人が多く、特にプリセールスやサポートエンジニアの経験者は、ベンダーで担当した製品を専門としたITコンサルティングファームに移り、スキルを活かしています。
また、外資系ITの法人営業はSIer出身者が多いため、SIerに戻るというキャリアパスは少ない印象です。
以上が外資系IT業界の概要とキャリアパスになります。業界の特性や自身のスキル、興味を考えながら、自分に最適なキャリアを模索してみてください。
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