この記事では、飲料業界について語るとともに、主要なプレイヤー、業務内容、適性、そしてキャリアパスについて解説します。

【業界トレンド】

物流を取り巻く現状の課題として、トラック輸送・運転者を取り巻く環境は注目されています。

「人手不足」「高齢化」「長時間労働」「低賃金」「トラック調達コストの上昇」「荷待ちにおける長時間待機」「荷卸しや付帯作業の増加」などにより非常に厳しく、運転者不足が深刻化しています。
また、2024年には労働基準法の時間外労働上限規制が適用されることで、この状況はさらに深刻化すると予想されています。
*2024年問題:トラック運転者の総需要が2025年前後に18%程度不足することに加え、労働基準法の上限規制が加わり、輸配送能力は現状の70%程度と推定されています。(鉄道貨物協会、日本ロジスティクスシステム協会などのデータより)

サントリーホールディングス(大阪府)は6月以降順次、製品の物流管理システムを刷新することを発表しました。
サントリーグループでは、配送量が大幅に増加する夏季などの繁忙期には、トラックの現在地などの配送状況を確認する頻度も高まり、その対応は物流企業・ドライバー・同社それぞれの負担となっていました。 物流管理システムに、各物流企業が持つ車両の位置情報を自動でタイムリーに収集・把握する機能を新たに搭載。各トラックの配送状況を即時に把握できるため、物流企業・ドライバーへの問い合わせが不要になり、年間、計約6万時間の削減が見込めます。新システムは6月19日から首都圏で導入され、年内に全国での稼働開始を目指しています。

【主要プレイヤーと特徴】

【主な職種の業務内容】

営業

メーカーの営業では、自社製品を売ることが仕事になります。企業や小売店、商社が相手になることが多く、消費者に直接営業をすることは少ないです。

飲料業界における営業職はさらに下記に三分され、その中でさらに二分化されます。

・家庭用営業

小売店に対して自社商品の営業を行います。小売店とは、消費者が直接商品を購入できる店であるスーパーマーケット、コンビニエンスストア、EC、ドラッグストアのことを指します。

– 卸売店営業

小売店に間接販売する卸売業者や商社などに対し、営業します。

– 小売店営業

卸売業者や商社に加え、小売店のバイヤーに直接新商品や棚割りの提案など
商談に行きます。棚割りとは、小売店における商品陳列における配置決めのことです。

・業務用営業

料飲店に対して自社商品の営業を行います。料飲店とは飲食店のことです。グループ会社の中でも特に酒類メーカーのコネクションを活用しながら、飲料の原液(ドリンクバー)や業務用専用商品を販売します。

– 卸売店営業

料飲店に間接販売する卸売業者や商社などに対し、営業します。

– 料飲店営業

卸売業者や商社に加え、料飲店にも直接商談に行き、アプローチします。

・自動販売機営業

法人企業や地主に対し、自動販売機の設置を目的とした営業をします。顧客になるのは、スーパーマーケットや不動産会社、駐車場のオーナーなどです。自動販売機の補充も営業が行います。

– 卸売店営業

自動販売機専門の卸売業者に対し、自社商品の取扱いを提案しに行きます。

– 法人(オーナー)営業

法人企業や地主に対し、自動販売機の設置を提案します。

商品企画・マーケティング

商品企画の仕事内容は、市場の動向を調査・分析し、新商品の提案や、既存商品の改良を行うことです。顧客、市場、商品などあらゆるデータを集め、営業部門と協業しながら商品の企画を行います。

マーケティングは商品の販売促進をミッションとして、CMをはじめとする広告戦略の立案から実行まで担当します。また、店頭で商品認知率を高めるためのインストアマーケティングを行うことも業務の1つです。

研究開発

新容器や原液の開発など、コア技術の研究開発を行います。主な仕事内容は、実験・解析・データ収集・分析・検証などです。

研究職は、新製品の開発や既存製品の改良に必要な基礎研究を行います。

一方、開発職は、研究によって得られた結果をもとに、安全の確保・コスト計算など製品化に向けた業務を担当します。

生産管理(工場勤務)

実際に製造をする現場を監督します。生産製造計画に基づいて製品を予定通り出荷できるよう生産量や品質を管理する仕事です。安全に、決まった数を計画的にどう製造するかを計画し、実行していきます。

物流

全国の各卸売業者への配送計画をはじめとする物流の仕組みを整えます。いつ、どの商品をどれくらい運ぶかという設計をする仕事です。

調達

原料調達をするため、国内外を問わず買い付けにいきます。商社と連携をして調達するところもあります。

人事(総務)

全社の配置、採用、研修、評価、報酬といった人事総務の業務を行います。

【職種別適性】

営業

・家庭用営業

顧客との関係構築力と論理的な提案力の両方を兼ね備えた人が向いています。地方配属では、顧客との関係性がより重要となるため、相手の懐に入ることが大切です。また、地方営業では担当顧客数が増えることが多いため、マルチタスク能力を持っていることが望ましいです。一方、首都圏では、デジタル化が進んでおり、顧客データを集めることができます。そのデータを活用し戦略を立て、顧客の課題解決をすることが重要です。また、社内の他部門や全国の卸売店などステークホルダーも増えるので、周りを巻き込んで仕事を進められる人が向いています。

・業務用営業

顧客と深い関係性を構築できる人が向いています。特に相手の懐に入ることが大事です。1日に3〜4件ほどあいさつ回りに行き、そこの店長と飲食をしながら話し、関係性を構築していくことがあります。卸売店と協力して顧客開拓をすることもあるので、周囲を仲間にしながら仕事を進められる人が向いています。

・自動販売機営業

たくさん動ける人が向いています。さらに、商談力が強い人が望ましいです。自動販売機は設置可能な台数が少ないため、他社との勝ち負けが明確になります。「うちでやりましょう」と言える商談力を持つ人が向いているといえるでしょう。

マーケティング

情報感度の高い人が向いています。さらに、消費者の特性や行動をもとに企画を考えるため、消費者目線で考えられることも重要です。しかし、マーケティング部に行けるのは、全社員の5%前後など、狭き門であることも留意しましょう。

生産管理(工場勤務)

物事を俯瞰してみることができる人が向いています。生産管理の仕事は、各ラインとの関連性や影響などを考慮しながら進めなければなりません。したがって、一つの物事にとらわれず仕事を広い視野で捉えることができる人は、生産管理の仕事で能力を発揮できるでしょう。

物流

計画性と柔軟性を兼ね備えた人が向いています。一日に数百~数千台の配送を管理するためきちんとした計画を立てその通りに遂行できることが大事です。また、交通状況による配送トラブルも多いため、トラブルに対して柔軟に対応できる柔軟性を持っておくとより良いです。

調達

コミュニケーション力や交渉に長けた人が向いています。 調達部門は社内外の人々と連絡を取り合い、原料等の調達を行うことが仕事です。そのため、数多くの関係者と良好な関係を保つコミュニケーション力が必要です。また、買付け金額が大きいため、顧客との価格交渉はシビアに行われます。高い交渉力が求められるポジションであることも理解しておくとよいです。

研究開発

一つのことにコツコツと取り組める人や失敗しても前向きに捉えられる人が向いています。研究開発は同じ領域の研究を何度も繰り返し、且つ失敗も多い仕事です。粘り強く取り組む力が求められています。但し、研究開発職は学生時代に近い領域で研究を行っていることが前提で採用されるので、過去の経験が最も重要となります。

【キャリアパス】

基本的に新卒など、最初は営業配属になります。その後、営業として3〜5年に1回のペースで異動することが主流です。

営業に関しては、主なキャリアパスが2つあります。1つ目は、営業で成果を出して、本社の各部署に行き、管理職になるというキャリアパスです。2つ目は、営業で成果を出して、地方拠点の支社長になり、その後本社の役員になるというキャリアパスです。

一方、本社人事や調達などの部署に配属されると、仕事の専門性が高いことから部署異動はせず、その部署で管理職まで上がっていくことが多いです。

最近では社内での副業を推進する企業も多くあります。入社してから2年目〜5年目以内のタイミングで社内副業をし、その部署に異動するというケースも増えてきました。ただし、副業を活用している人は10分1にも満たないという現状があります。

転職事情として、20代〜30代前半のタイミングでコンサルティングファームや金融以外の大手に行く人がいます。特に、商品知識や消費者目線の理解という強みを生かして、Amazonや楽天などのECコンサルを志望する人も増えています。業界の将来に対する不安や、成長への懸念が転職の理由となっているようです。

以上が飲料業界の概要とキャリアパスになります。業界の特性や自身のスキル、興味を考えながら、自分に最適なキャリアを模索してみてください。