この記事では、機械/工具商社業界について語るとともに、主要なプレイヤー、業務内容、適性、そしてキャリアパスについて解説します。
【業界トレンド】
昨今の機械工具業界ではインダストリー4.0と呼ばれる「工場のスマート化」が進んでいます。
「工場のスマート化」とは、工場で稼働する機械や作業員などをネットワークに組み込むことで、製造業のプロセスをより高速かつ効率的にすることを目指す取り組みのことです。
その背景としては、現場の人手不足の深刻化という大きな課題があり、およそ94%の企業が人材の確保に課題を抱えているというデータも出ています。
機械工具商社業界としては、今後ロボットの導入による自動化や省人化、IT・IoT・ビッグデータ、AIなどの活用による生産工程の合理化が求められていくなかで、最新の技術・情報をキャッチアップしながらそれを実用化までさせていく技術力や対応力が求められています。
【主要プレイヤーと特徴】
【主な職種の業務内容】
営業
機械/工具専門商社業界の営業では、メーカーから仕入れた機械・設備や工具を売ることがメインの業務になります。企業により異なりますが、営業の種類は大きく分けて販売店営業と直販営業の2つに分かれ、企業によっては、海外に営業部を持つ企業もあります。
・販売店営業
販売店と呼ばれる商社に対して、営業を行います。ルート営業が中心で商社向けの営業となるため、商社の営業担当への商品提案、勉強会・セミナーの開催や、展示会の開催がメイン業務となります。
・直販営業
直販営業では既存の大手顧客を担当するケースと新規開拓営業の2パターンに分類されますが実際の業務内容については大きく変わりません。
メーカーから仕入れた商品を、直接エンドユーザー(工場)の生産技術者や経営者に対して提案を行います。見積を取る所から始まり、生産ラインでの課題ヒアリングして解決策の提案まで幅広く行います。また、直接機械を操作する方ともコミュニケーションを取る必要があるため、現場に入ることも少なくありません。
・海外営業
日本企業の海外現地法人に対して、日本製工作機械の営業を行います。製造ラインの設計から工作機械の設置、導入後のアフターメンテナンスなど一貫して携わります。
・その他
近年はトレンドの一つとして、エンジニアリング機能には力を入れており、ロボットインテグレーターを採用する企業も増加傾向にあります。背景として人の代わりになるロボットを機械商社でシステムポップアップする事例が増えており、ロボットシステムインテグレーターがロボット本体と、ハンド、コンベアやカメラなどの組み合わせを行います。
人事
全社の配置、採用、研修、評価、報酬といった人事総務の業務を行います。
【職種別適性】
営業
・販売店営業
関わる顧客が多いため、コミュニケーション力・関係構築力に優れた人が向いています。地方拠点に配属になった場合は特に、相手の懐に入りこめるかが重要です。また、ビジネス上のお付き合いだけではなく、人として信頼できるかを見られるケースも少なくないため、業務の延長として食事やゴルフ等を共にする機会もあります。
・直販営業
販売店への営業と同様、コミュニケーション力や関係構築力に加え、エンドユーザーの課題やニーズを的確に引き出すヒアリング力も必要となります。また直接ユーザーに対して提案を行うため、専門知識が必要です。新しい知識をインプットする事が好きな方は販売店の営業より直販営業が向いています。
・海外営業
上記で記載したコミュニケーション力・関係構築力に加え、現地の方と対等な立場で話ができるビジネスレベルの語学力を兼ね備えた人が活躍する傾向にあります。また、臆せずポジションを取りながら商談を進める事ができるかも重要なポイントです。
【キャリアパス】
企業によって異なりますが、最初は業務職に配属される傾向にあります。業務職で基礎的な知識を習得後、営業職に配属になり、その後は、5から10年に1回のペースで異動することが主流です。
営業としての主なキャリアパスは3つあります。1つ目は、営業として成果を出して、本社に行き、管理職になるというキャリアパスです。2つ目は、営業で成果を出した後、地方拠点の支店長になるというキャリアパスです。3つ目は、営業で成果を出して、海外現地法人へ転勤し、経験を積んで、帰国後に管理職になるというキャリアパスです。但し、3点目に関しては、語学力に優れているということが前提になります。
一方、本社人事などの専門職に配属されると、仕事の専門性が高いことから部署異動はせず、その部署で管理職まで上がっていくことが多いです。
社外キャリアパスとして、20代前半〜20代後半のタイミングでメガベンチャーやコンサルティングファーム、メーカー営業等が転職先としてあげられます。一方で、20代の場合は将来のキャリアプランや、その方の強み、価値観によって行くべき業界、企業は変わってくるので、周りの意見には流されず自分自身の将来像から逆算した上で業界、企業選びをする事をおすすめします。
以上が機械/工具商社業界の概要とキャリアパスになります。業界の特性や自身のスキル、興味を考えながら、自分に最適なキャリアを模索してみてください。
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