モバイルアプリケーション開発の分野で注目されているのが、mBaaS(mobile Backend as a Service)の「Firebase」だ。多様な機能を持つFirebaseは、モバイルアプリ開発の作業時間や工数を最短でできるとして支持されている。今回はそんなFirebaseの特長やメリット、注意点を紹介していきたい。
Googleが提供するバックエンドサービス「Firebase」とは
FirebaseはGoogleが提供しているモバイルアプリケーションのバックエンドサービスである。そもそもmBaaSとは、モバイルアプリケーションのバックエンドで行う機能を提供するクラウドサービスだ。
アプリ表面上の機能ではなく、アプリ内におけるSNSとの連携や、データの保管・保存などのコンテンツを管理する機能を備えている。こうしたバックエンドの処理をmBaaSが行うことで、開発にかかる時間・手間を省略することができるのだ。
そんなmBaaSの一つがFirebaseである。Firebaseには開発に役立つ数多くの機能が用意されおり、開発に必要なものがほとんど揃う。
Firebaseを導入すれば、データベースへの保存や更新、削除、計算などのバックエンドの作業に対応する必要がなくなるので、開発者はアプリ開発に専念できるのだ。こうした利便性から、近年は注目度が高まっている。
Firebaseの特長
ここからは、Firebaseの機能について詳しく説明していきたい。
Firebase Realtime Database
Firebase Realtime Databaseはクラウド上のデータベースで、接続されている全てのユーザーとリアルタイムでデータ同期ができる。編集したデータは数ミリ秒で各端末に同期されるので、ユーザー同士はリアルタイムでの共同作業が可能になる。
例えば、Appleプラットフォーム、Android、JavaScript を使用してクロスプラットフォーム アプリ(異なるプラットフォーム上で、同じ仕様のアプリを動かせるプログラム)を構築した場合、全てのクライアントが一つのRealtime Databaseを共有して、最新のデータによる更新を自動的に受信できる。
Firebase Cloud Messaging
Firebase Cloud Messagingは、iOSやAndroidなど異なるデバイス間のアプリにメッセージを無料で送受信ができる機能である。Firebase Cloud Messaging上にユーザー情報を登録しておけば、1日に数千億ものメッセージを250ミリ秒以内に送れる。
例えば、アプリを毎日使っている人だけにレビューボタンを表示する、日本とオーストラリアで違うメッセージを表示する、アプリに課金している人だけに特別なホーム画面を表示するなど、さまざまな使い方が可能である。
Firebase Authentication
Firebase Authenticationはユーザーの初期登録や認証を実装できる機能である。パスワード、電話番号、メールアドレスをはじめ、Google・Facebook・TwitterなどのSNSを使用した認証を利用できる。また、ユーザーごとに認証画面をカスタマイズすることも可能である。
機能をアップグレードすれば、多要素認証、ブロッキング関数などの追加機能まで利用できるようになる。
Firebase Crashlytics
Firebase CrashlyticsはAndroidとiOS用のクラッシュ分析・レポートツールである。アプリ内のクラッシュを手動で見つけるのは困難だが、Crashlyticsを利用すればアプリの品質を低下させる安定性の問題を自動で追跡し、その問題に優先順位をつけてくれるので、効率よく修正するのに役立つ。
さらに、特定のクラッシュが多くのユーザーに影響を与えるかを調べたり、問題の重大度が急激に増した場合にアラートを受け取ったりすることもできる。
Firebaseのメリットと注意点
Firebaseのメリットと注意点をまとめると、以下の通りだ。
- サーバ管理が不要
- 複数の言語で開発可能
- コストやリソースの削減
- 機能が豊富
多様な機能を備えたFirebaseを利用すれば、機能を自由に組み合わせることで柔軟なアプリ開発が実現する。面倒なサーバの管理や保守が不要になるので、その分コストやリソース削減につながる。特に個人や少人数で開発されている人にとって役立つだろう。
ただし、Firebaseはデータが複雑化してくると逆に扱いづらくなる可能性がある。そのため、現在のところでは大規模かつ複雑なアプリには向かないと言われている。
とはいえ、Firebaseは今後も機能が改良され、利便性の高い新たな機能が登場すると期待されている。世間の注目度の高さからも、開発者を目指すのであればぜひ把握しておきたいプラットフォームだろう。
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