「SEって具体的に何をしているのだろうか」
「SEの仕事の将来性が気になる」
このように、SEの仕事内容や将来性について詳しく知りたい就活生は多いだろう。
そもそもSE(システムエンジニア)とは、企業や組織の要望に基づいて、情報システムの設計・開発・導入・運用を行う職種のことだ。
日々活用しているPCのシステムやスマートフォンなどのアプリは、SEが作り上げている。
SEが生み出すシステムは私たちの生活に欠かせないものの、AIの台頭により将来性を不安視する声も上がっているのが実情だ。
そこで本記事では、SEの仕事内容やSEの将来性、キャリアパス、年収などを詳しく解説する。
SE職を検討している人は、ぜひ最後まで読み進めてほしい。
SE(システムエンジニア)の仕事内容
SE(システムエンジニア)は、企業や組織の要望に基づいて、情報システムの設計・開発・導入・運用を行う仕事だ。
SEとして働くには、コンピューターシステムやソフトウェア、ネットワークなどの技術的な知識とスキルが必要不可欠である。
これらの専門的な知識を活用して、信頼性の高いシステムの構築を目指すのだ。
SEの仕事内容は、以下の6つに分類される。
- クライアントからのヒアリング
- システム設計
- プログラミング・開発
- テスト・品質管理
- システムの運用・保守・トラブルシューティング
- プロジェクト管理
クライアントからのヒアリング
システムを構築するにあたって、まずはクライアントからシステム開発の要望・現状の課題などのヒアリングを行う。
具体的には、以下のような内容をヒアリングする。
- どのようなシステムを求めているのか
- システム開発をする目的は何か
- 現状の課題は何か
- いつまでに完成させる必要があるのか
- 開発予算はどれくらいあるのか
システム開発に必要な情報をヒアリングできたら、提案書を作成しクライアント側との合意が形成できれば受注につながるという流れだ。
ヒアリングは、受注が決まる重要な工程であるため、慎重かつ丁寧に行う必要がある。
システム設計
ユーザーの要求や課題を分析した上で、実際にシステムの設計を行う。
システムを設計するにあたって、まずはシステムに求められる機能や要件を明確化する「要件定義」を行う必要がある。
ユーザーの要望や業務プロセスを理解し、システムに反映させるための基盤を作るのである。
システム設計は、基本設計と詳細設計に分けて実施される。
基本設計では、業務の流れや機能の洗い出し、管理画面のレイアウトなど、システム全体の基本的な構成を作成する。
詳細設計では、設計書の仕様通りにシステムを動かすための細かな設計やデータベースの構造を構築する。
プログラミング・開発
システム設計が完了したら、システムやアプリケーションを実装するプログラミング・開発の工程に移行する。
プログラミング言語や開発ツールを使用して、要件や設計に応じたコードを作成し、システムの機能を実現する。
開発の工程では、以下のような業務も行う。
- ユーザーインターフェースの設計
- データ処理の実装
- バグの修正 など
テスト・品質管理
開発が完了したら、開発したシステムやアプリケーションのテストを行う。
運用前に計画に沿ったテストを行うことで、バグやエラーを特定できるのだ。
発見されたバグはバグトラッキングシステムに報告され、開発チームと協力してバグの修正や再テストを行う。
なお、品質管理のためのテスト計画やテストケースの作成自体も、SEが担当する。
システムの運用・保守・トラブルシューティング
テストが完了したら、設計したシステムの運用や保守、トラブルシューティングを行う。
データの移行やユーザートレーニング、システムのドキュメンテーションなどを行い、システムの正常な運用を行っていく。
また、運用中はシステムの監視やトラブルシューティング、必要なメンテナンスやアップデートが欠かせない。
システムに問題が発生した場合には、システム障害やエラーの原因を特定し、適切な対策を講じる必要がある。
さらに、ユーザーからの問い合わせを踏まえてシステムを改善するのもSEの役割だ。
トラブル解決の支援やシステムの改善を行い、ユーザーの利便性を向上させることが求められる。
プロジェクト管理
システム設計・開発・運用までの一連のプロセスにおける進捗管理やスケジュール管理、リソースの調整を行うのも、SEの役目だ。
具体的には、以下の仕事が該当する。
- プロジェクトの目標立て
- スコープ・スケジュール・リソースの計画立案
- プロジェクトの進捗状況
- リスク管理
- チームメンバーの指導
- タスクの割り振り
このように、SEのプロジェクト管理の仕事は多岐にわたる。
SE(システムエンジニア)業界の動向
SEは、需要の高い職種の一つだ。
その理由には、IT技術の進歩やDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進する企業の増加が挙げられる。
これまでITを活用していなかった企業も導入を始めており、システムの設計・開発・運用を支援できるSEの需要が高まっているのだ。
しかし、日本ではSEをはじめとするIT人材不足が深刻化しているのが実情だ。
経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、このままIT人材不足の拡大が進むと、2030年には最大で79万人のIT人材が不足すると予測されている。
このような背景から、SEの新卒採用を積極的に行っている企業も増えている。
SEの新卒採用を行う企業は、入社時点での知識やスキル、経験よりも入社後の成長性・将来性を重視する傾向にある。
そのため、「素直」「向上心がある」「コミュニケーション能力がある」など、ポテンシャルの部分が採用において重要になるだろう。
AIによってSEの仕事はどうなるのか
SEの仕事に対して「AIに仕事を奪われてしまうのではないか」「将来的になくなるのではないか」と不安の声を上げる人も多い。
近年、ChatGPTをはじめとした優秀なAIが次々と開発されている。
AIの台頭によって、これまで人間がやっていた定型業務は代替されるだろう。
しかし、SEの仕事が完全になくなるとは考えにくい。
なぜなら、SEの仕事には以下のような人間ならではの業務があるからだ。
- 企業独自の事情や悩みのヒアリング
- 業界の動向把握
- 複雑な人間関係の理解 など
また、SEの仕事はマニュアル化・パターン化できない業務も多く、すべてがAIに変わる未来は想像しにくいのが現状だ。
仕様書通りにコーディングするだけでなく、人間にしかできないクリエイティブな開発・柔軟な開発こそ、これからのSEに求められる要素だろう。
SE(システムエンジニア)に向いている人の特徴
SEに向いている人の特徴は、以下の5つだ。
- 技術的な知識に興味・関心がある
- 問題解決能力がある
- チームワークを大切にできる
- 分析能力がある
- クライアント志向がある
技術的な知識に興味・関心がある
SEとして業務を行う上では、情報技術・ITに関する幅広い知識を身につけることが大切だ。
コンピューターシステムやソフトウェア、ネットワークなどのIT分野は日々進化しており、情報も常に更新されている。
これらの情報に興味・関心を持ち、自ら取り入れる姿勢がないと、業界の変化についていくのが難しいだろう。
常にIT分野の最新技術やトレンドに関心を寄せ、柔軟に取り入れられる人は、SEに向いているといえる。
問題解決能力がある
SEは、日々複雑な問題に対応し、解決する能力が求められる。
例えば、システムにトラブルやバグが発生した場合には、問題の発生原因を突き止めて、根本的な解決が求められる。
発生した問題に対して臆することなく解決策を模索できる人は、SEに向いているといえる。
チームワークを大切にできる
SEの仕事は、複数のメンバーと協力してプロジェクトを進めていくのが一般的だ。
協調性やチームワークを意識し、ほかのメンバーとの協力や意見交換をすることが求められる。
また、プロジェクトをスムーズに進めるには、円滑なコミュニケーションも不可欠である。
プロジェクトメンバーはもちろん、クライアントとのやりとりをスムーズに進められないと、スケジュール通りにシステムを開発するのは難しいだろう。
相手の立場や状況を理解しながら、うまくコミュニケーションを取って連携する必要がある。
分析能力がある
SEは、クライアント企業の要求や業務プロセスを分析し、システムの設計や開発に反映させる必要がある。
そのため、複雑な情報を的確に把握し、洞察力を持って問題を分析できる能力が欠かせない。
データ分析や課題分析が得意な人は、SEとして活躍しやすいだろう。
クライアント志向がある
SEは、ユーザーの要求やニーズに対して敏感であり、クライアント志向の姿勢を持つ必要がある。
なぜなら、システム開発は基本的にユーザーの希望を満たす必要があり、自己満足のために行うものではないからだ。
ユーザーの視点に立ち、最適なソリューションを提供することで、顧客満足度を高められる。
クライアントに目を向けて、顧客満足を追求できる人は、SEに向いているといえる。
SE(システムエンジニア)のキャリアパス
SEのキャリアパスには、以下の4つがある。
- SlerのSE
- Web系企業のSE
- 社内SE
- ITコンサルタント
SIerのSE
SIerとは、企業のシステム開発や運用を請け負う企業のことである。
SIerでは、さまざまな企業のシステム開発に関われるため、幅広い経験を積めるのがメリットだ。
新卒採用に積極的な企業も多く、SEとして初めての就職先にもおすすめだ。
一口でSIerといっても、企業によって担当する工程が異なり、設計から運用までを一貫して行うSlerは少ない。
そのため、どの工程を担当するSIerで働けるかによって、身につけられるスキルや経験が変わってくる。
例えば、一次請けのSIerならクライアントとの打ち合わせやシステム設計などの上流工程に携われるが、二次請けならプログラミングや開発といった業務がメインとなる。
上流工程であれば、プログラミングの実務スキルより、クライアントとの交渉や管理といった営業・マネジメントスキルが身につきやすい。
Web系企業のSE
Web系企業とは、Webを用いて自社サービスを展開する企業のことだ。
クラウド上のソフトウェアを提供するSaaS企業は、Web系企業の一つである。
Web系企業のSEは、システムの企画から開発までを一貫して行えるのが特徴だ。
例えば、近年エンタメ業界や医療業界、教育業界などを中心に、ARやVRの開発に取り組む企業も増えてきている。
ARやVRであれば、それぞれを用いたサービス技術の設計から3Dモデルを動かすプログラミングまで関わることができる。
SlerのSEのように特定の工程に限定せず、改善やアフターフォローなども含めてトータルで関わりたい人におすすめだ。
社内SE
社内SEは、自社のシステム構築・運用・保守に関わる専任エンジニアだ。
社内のITやWebに関することすべてを、社内SEが対応することになる。
そのためシステムに関する幅広い知識はもちろん、コミュニケーション能力やタスク管理能力などが求められる。
また、社内SEの仕事は企業によって大きく異なるのが特徴である。
システム設計やアプリ開発を手がけることもあれば、ヘルプデスクとして社員へPCや社内システムの使用方法に関する教育などを行う場合もある。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、IT分野で課題を抱えているクライアントに対し、IT戦略やシステム導入に関する支援をする仕事だ。
一般的なSEとは違って企業の戦略に関わるため、ITに関する応用的な知識はもちろん、企業運営の理解や経営に関する知識も求められる。
また、システム開発における予算や進捗を正しく管理するためのマネジメント能力も欠かせない。
このように、高度な知識とスキル・経験が求められる職種だが、その分年収も高く、やりがいを得られるのが特徴だ。
豊富な知識と経験が必要になるため、SEとして経験を積んだ先に見えてくるキャリアだ。
平均年収と年収の推移
大手転職サイトの「doda」によると、2023年7月時点のSE/プログラマーの平均年収は「413万円」である。
SE職が含まれる技術系(IT/通信)全体の平均年収が442万円であるため、平均よりも低い結果になっている。
ただし、SEからキャリアをスタートさせてサーバーエンジニアやネットワークエンジニア、データサイエンティストなどと専門性を磨いていけば、高収入を目指せる。
年代別の年収
年代 | 年収 |
20代 | 364万円 |
30代 | 481万円 |
40代 | 563万円 |
50代〜 | 572万円 |
出典:平均年収ランキング(職種・職業別)【最新版】|doda
職種全体の年代別と比較すると、SEの年収は全体よりやや下回っている。
その理由として、SEは20〜30代の若手が多く活躍している点が挙げられる。
まずはSEで実績と経験を積み、その後専門性の高い職に就いたりコンサルタントに転身したりすると、平均以上の年収を手にできるだろう。
男女別の年収
性別 | 年収 |
男性 | 427万円 |
女性 | 380万円 |
出典:平均年収ランキング(職種・職業別)【最新版】|doda
SEの男女別の年収を見ると、男性が女性より50万円ほど高い収入を得ていることがわかる。
ただ、ほかの業界と比べると年収の男女差は非常に少ない。
そのため、SEは男女問わず、実力やスキルで評価されやすい業界であると考えられる。
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