セールスとしての市場価値の高め方として、高い売上実績を残すだけではなく、事業開発を推進する方法もある。今回は、セールスの立場から事業開発を推進するような動き方について説明をしたい。

セールスは一営業員とは限らない

営業としても高い実績を残すことでスーパープレイヤーになったり、マネジメント側に移り、営業組織を率いたりというのが王道のキャリアパスであるが、それ以外にもセールスとして結果を残す方法が存在する。

それは事業開発に貢献するという形での価値の出し方であり、 今のポジションが1人の営業員としての位置づけだとしても動き方次第で十分に貢献することができる。

事業開発を推進するセールスの役割とは

具体的に、事業開発を推進する方法であるが、大きく2つの貢献の仕方がある。

1つ目はサービスの品質に貢献するようなセールスである。これは顧客からのフィードバックを製品・サービス開発担当者に伝える活動だけにとどまらず、他企業とのアライアンスを組むことによってサービスやプロダクト自体の品質を向上することも含まれる。

わかりやすいイメージで言えば、ゲーム会社のアライアンス営業は このポジションにあたり、任天堂とコラボすることによってゲームの魅力を高めたりすることができる。

他にも、複数の企業でアライアンスを組むことによって優れた体験を提供することは意外にも多くあり、そのスキームの中心を担うのはセールスの役割であることが多い。ただしこの貢献の仕方に関しては、一定与えられている役割に制限される部分もある。

2つ目は営業組織全体のパフォーマンスを上げるような貢献である。これは営業組織としての仕組み作りを行うことであり、卑近な例で言えばうまくいったトーク内容をスクリプト化して展開するなどである。

より強力で貢献度の高い例としては、集客元となる企業等の提携をまとめ、 見込み顧客を獲得する手法を増やしたりすることが挙げられる。

具体的な活動内容は、その組織により様々であるが、他の人にも転用できる継続的な改善活動であれば、営業組織全体のパフォーマンスを上げていると定義できる。

例えば顧客の誕生日に連絡をすることで、アポの取得率が 10%上がることを見つけたのであれば、そのやり方を社内に展開することで営業組織全体のアポ取得率を時期の制限があるとはいえ、10%向上させることが期待できる。

この貢献は、来年度以降も継続的に続くものであり、このような活動の積み重ねによって営業組織全体の生産性を高めることができる。

1人の活動としてはインパクトが小さいかもしれないが、事業全体を良くするノウハウとして展開したり、仕組みとして構築したりすることによって、事業開発をリードすることができる。

事業開発につながるキャリア形成

そのような取り組みが出来るような人材になるために何をすべきなのかということについても簡単に触れておきたい。

まずはどれだけの裁量を持てるのかという部分に注目したい。もちろんどのような企業でも改善の余地はあるのだが、仕組みがまだ整いきっていないスタートアップは裁量も大きく、個々の工夫を求めていることが多いので、取り組みやすい傾向にある。

一方で、10人以下のごくごく小規模なベンチャーであると、ノウハウや仕組みの活用人数が少なくインパクトが小さくなりやすい。また、成長しているスタートアップの場合には今までにも仕組みやノウハウの構築を行ってきた人材がいるため、見本として学ぶことができることも大きい。

そのため、個人としての結果を追求したり、他のメンバーのマネジメントをしたりという方向性に疑問を感じている方は、事業全体を良くしていく仕組み作りや基盤を作っていくことで、キャリアを広げていくことをを選択肢に加えていただけると嬉しい限りである。