Web会議が立て続けに入り、1つの会議が終わるとまた別の会議に参加するといった業務スケジュールとなっている方も多いのではないだろうか。

実際に、Cisco Systemsが発表した「Hybrid Work Index」によると、Web会議疲れが原因で従業員がバーンアウト(燃え尽き症候群)を引き起こし、会議出席者の約48%が発言していないというデータがある。

このような状態は心身ともに疲労を起こす原因となり、仕事のパフォーマンスを悪化させる。

本コラムではこの問題についての対処法を提案したい。

「座りっぱなし」が健康に与える影響

在宅勤務が増える中、Web会議の連続で座りっぱなしになることが多くなった。この「座りっぱなし」が健康に与えるリスクは非常に大きい。

WHOが2020年11月に発表した「身体活動・座位行動ガイドライン」によると、座りっぱなしの時間を減らすことが推奨されている。

長時間座っていることは、心臓病、糖尿病、そして早期死亡のリスクを高めるとされている。

日本人は世界でもトップクラスの「1日420分」(7時間)座り続けていると言われており、特に在宅勤務でのWeb会議の連続がこの問題を悪化させている。

日本では在宅勤務が普及したことで、多くの人々が以前よりもさらに長時間座り続けるようになった。

長時間座っていることで、血液の循環が悪くなり、筋肉や関節に負担がかかる。さらに、長時間のデスクワークは視力にも悪影響を及ぼすことがある。

オフィス勤務の際には、定期的な休憩を取り、職場内での軽い運動やストレッチが自然と行われる。

しかし、在宅勤務ではこれらの活動が減少しがちである。オフィスでは会議室までの移動や同僚との立ち話が日常的に行われ、これが健康維持に寄与していた。

さらに、通勤自体が有酸素運動として機能していたことを考えると、在宅勤務によって失われた身体活動の重要性が浮き彫りになる。

健康維持のための提案

在宅勤務でも健康を維持するためには、意識的に運動を取り入れる必要がある。

まず、通勤時間に相当する時間をウォーキングや軽いエクササイズに充てることが推奨される。

また、Web会議が連続しないようにスケジュールを調整し、会議の間にストレッチやスクワットを行うと良い。

その他、エレベーターを使わずに階段を利用するなど、無理なく続けられる方法を見つけることが大切だ。

さらに、在宅勤務での健康リスクを減らすためには、適切なデスク環境を整えることも重要である。

座り心地の良い椅子や、モニターの高さを調整することで、体への負担を減らすことができる。特に、腰痛や首の痛みを防ぐためのエルゴノミクスに配慮した家具の選定は、長時間のデスクワークにおいて大きな違いを生む。

また、メンタルヘルスのケアも忘れてはならない。

長時間のWeb会議や孤立感は、ストレスや不安を引き起こす可能性がある。定期的に同僚や友人とオンラインでのコミュニケーションを取り、メンタルのリフレッシュを図ることが大切である。

総じて、在宅勤務中でもオフィスでの働き方を模倣することが重要である。

例えば、一定の時間ごとに立ち上がって軽い運動をする、ウォーキングミーティングを取り入れるなど、創意工夫によって健康を維持する方法を見つけることが可能だ。

また、テクノロジーを活用し、健康管理アプリやデバイスを利用して、日々の運動量や健康状態をモニタリングすることも有効である。これにより、自分自身の健康状態を常に把握し、必要に応じて適切な対応を取ることができる。

Web会議の連続による健康リスクは、無視できない問題である。

高いパフォーマンスを発揮し、現職での成果を上げるためにも、健康が重要であることは言うまでもない。

特に日々の小さな努力は、大きな健康の違いを生む。

長期休暇などのタイミングで、自身の健康に対する配慮を行い、日々の過ごし方に関する見直しを図る事をお勧めしたい。