Web会議で話しても、伝わった手応えがない。対面以上に伝達力が問われるオンラインで使える型が、PREP法である。

PREP法の基本構造

PREP法とは、結論(Point)、理由(Reason)、具体例(Example)、結論(Point)の順番で話を組み立てるコミュニケーションの型のことだ。

それぞれの英語の頭文字を順番に並べるとPREPとなるため、この名称で呼ばれている。最も伝えたいメッセージである結論を冒頭に提示し、その根拠となる理由と裏付けとなる具体例で補強したうえで、最後にもう一度結論を強調するという構造になっている。

普段の雑談で、結論から話すことを強く意識する場面は少ないかもしれない。一方でプレゼンテーション、面接、商談のように、限られた時間の中で相手にわかりやすく自分の主張を伝えなければならない場面では、この順番が力を発揮する。

いずれも、相手の時間を借りて自分の主張を通す場面である。PREP法が働くのは口頭のやり取りだけではない。文書においても高い効果がある。

職務経歴書や志望動機書、企画書やメールの文面。限られた文字数の中で要点を簡潔に伝える場面は、ビジネスの現場に数多く存在する。読み手の注意力にも限りがあるため、冒頭の数行で何の話かが見えるかどうかが、その先の読まれ方を左右する。

メールであれば、依頼なのか報告なのか、返信を求めているのかを最初の一文に置く。理由や経緯はその後に続ければ、読み手は判断を先に済ませられる。

職務経歴書であれば、どの分野で何を担ってきた人なのかを冒頭に置く。そこに至る経緯や担当業務の細部は、その後ろに回せばよい。話し言葉でも書き言葉でも、相手が最初に受け取るのは冒頭の一文である。

Web会議でPREP法が有効な理由

リモートワークやハイブリッドワークが当たり前となった現在、オンラインでのやり取りは業務の一部になっている。PREP法が特に活きるのは、Web会議の場面だ。

Web会議は対面の会議と比べて、会議の空気感や参加者の表情を読み取ることが格段に難しいという特性がある。自分の発言が相手にきちんと伝わっているか、理解されているかの手応えを感じにくい。

対面の会議であれば、相手の視線や姿勢から、話が届いているかをおおよそ判断できる。うなずきや相槌が返ってこなければ、どこまで届いたのかを確かめながら話を進めることもできない。

対面であれば相手の反応を見ながら補足したり言い換えたりといった柔軟な対応が取れるが、Web会議ではそれが難しい。相手が眉をひそめた時点で説明を足すという修正の機会が、最後まで訪れないこともある。

特に参加者が多い会議では、マイクがミュートのまま反応がないという状態が日常的に発生する。発言者は、反応の薄さに不安を抱えたまま話を続けることになる。発言を終えた直後に沈黙が挟まるのは、Web会議では珍しい光景ではない。

また、Web会議は物理的な会議室のキャパシティの制約を受けないため、対面の会議よりも参加者が多くなりやすいという特徴がある。参加者が多くなれば、一人あたりの発言時間は自然と限られる。

発言の機会そのものが、対面の会議より貴重になる。前置きや経緯から話し始めると、本題に入る前に持ち時間が尽きる。短い時間の中で論点を明確にし、的を射た発言をすることが、これまで以上に求められる。

Web会議で意見を求められた場面に当てはめると、順番は単純だ。まず賛成か反対かという結論を述べ、次にその理由、続いて根拠となる具体例を置き、最後にもう一度結論に戻る。

このような環境だからこそ、最初に結論を提示し、理由と具体例で補強するPREP法は、Web会議における発言の質を飛躍的に高めてくれるのだ。

結論を一文目に置けば、聞き手はその後の説明を何の話として聞けばよいのかがわかる。表情の見えない相手にも、話の輪郭だけは最初に渡せる。

エージェントとして転職者の面接対策を行う際にも、PREP法の徹底をオンライン面接対策の最重要項目の一つに位置づけている。画面越しの面接も、限られた時間の中で自分の考えを相手に届ける場面という点では、Web会議と変わらない。

PREP法がもたらす二つの利点

PREP法の利点は、大きく二つある。一つは、結論を冒頭に持ってくることで話全体が短くなり、言いたいことを短時間で効率的に伝えられるという点だ。

仮に理由から話し始め、具体例を挟んで最後に結論を置いたとする。聞き手は結論が出るまで話の方向性がわからないため、前半部分の理由と具体例の理解が浅くなり、論点がぼやけてしまう。

さらに結論の内容次第で次のアクションが変わる場面において、結論が最後に来る構成は聞き手の時間を余計に使わせることになる。提案を進めるのか、いったん見送るのか。次の動きは、結論を聞くまで決まらない。

たとえば結論が「ノー」であった場合、理由と具体例を長々と聞いた後に、その結論を知ることになる。前半の説明に費やした時間は、そのまま余分な時間として残る。

二つ目の利点は、重要な結論が聞き手の記憶に残りやすいということだ。主張したい結論が冒頭に来ているため、聞き手は結論を頭の中に置きながら、それを裏付ける理由と具体例を聞くことができる。

最後にもう一度結論で締めくくることで、聞き手の中で理解が腹落ちしやすくなる構造になっている。

人間の脳は物事の最初と最後を特に強く記憶する性質を持っており、これは初頭効果・親近効果と呼ばれる。この脳の性質から見ても、結論を最初と最後に配置するPREP法は記憶への定着率が高い。

なお日本語は文法的に述語が文末に来る言語であるため、日本人は結論を最後に話す傾向が自然と強くなる。賛成なのか反対なのかという判断も、文の最後まで現れない。

小学校の作文で教わった起承転結も、結論が最後に来る構成である。状況の説明から始まり、話の展開を経て、最後の結でようやく着地する。意識しなければ、結論を後回しにする話し方が染みついてしまう。

頭では理解していても、結論から話すことを日常的に実践できている人は意外と少ないのが実情だ。ビジネスの場では、自分の考えを短時間かつ印象的に伝える力が、そのままキャリアの評価につながる。

面接やプレゼンテーションの場でも、結論を先に置くという順番は変わらない。次のWeb会議で意見を求められたら、経緯や前置きを飛ばし、結論を一文目に置いてから話し始めて欲しい。理由と具体例は、その後ろに置けば足りる。