ビジネスの現場で「思考力」を求められることは多いだろう。

そんな時、コンサルタントが新人時代に学ぶ基本的なフレームワーク、「空雨傘の思考法」を知っておくと、問題解決の際に非常に役立つ。

このコラムでは、「空雨傘の思考法」を紹介し、その実践方法について詳しく解説する。

「空雨傘の思考法」とは

「空雨傘の思考法」とは、マッキンゼーが提唱する問題解決のための基本的なフレームワークだ。

この思考法では、事実(空)、解釈(雨)、アクション(傘)を明確に区別し、それぞれを順序立てて考えることを重要視する。

この三つのステップを経て考えることで、論理的かつ効果的な解決策を導き出すことができる。

事実:空が曇っている
解釈:曇っているから、雨が降りそうだ
アクション:雨が降りそうだから、傘を持っていくべきだ

この思考法は、日常のビジネスシーンにおいても非常に役立つ。

たとえば、市場動向を観察し、そのデータから今後のトレンドを予測し、適切な戦略を立てることができる。

これにより、ビジネスの成果を最大化するための具体的な行動計画を立てることが可能となる。

よくある失敗事例

「空雨傘の思考法」で重要なのは事実・解釈・アクションを明確に区別することだ。

ビジネスシーンでのよくある失敗例として、上司にデータだけを報告してしまうケースがある。

たとえば、売上データをそのまま渡して「できました!」と言うだけでは不十分だ。

なぜなら、上司はそのデータをどう解釈し、どのようなアクションを取るべきかを求めているからだ。

この場合、データをただ集めるだけではなく、そのデータから何が言えるのかを解釈し、適切なアクションを提案することが重要だ。

また、別の失敗例として、解釈を省略してアクションだけを提案するケースがある。

たとえば、「売上を上げるために新商品の投入を行うべきだ」と言うだけではなく、その提案の根拠となるデータや市場のトレンドを明確に示す必要がある。

解釈がない提案は、説得力に欠けるため、上司や同僚に納得してもらうことが難しい。

事実と解釈、アクションを混同したまま報告してしまうことも悪い事例だ。

憶測に憶測を重ねた議論では真実にはたどり着けない。報告の際には、きちんと区別をつけて話すことを心掛けるべきである。

実践方法をご紹介

では、どうすれば「空雨傘の思考法」を実践できるのか。

基本的には順を追って整理していく事が望ましい。

まず、何かを観察したら、その観察結果を事実として記録する。次に、その事実から何が言えるのか、どのような推測が成り立つのかを解釈する。そして最後に、その解釈に基づいてどのような行動を取るべきかを決定する。

たとえば、市場調査の結果、特定の商品が好調であるという事実があれば、その理由を解釈し、次に打つべき施策を考える。

具体的には、「この商品が売れている理由は、ターゲット層のニーズに合致しているからだ」と解釈し、「今後もこのターゲット層に焦点を当てた商品開発を進めるべきだ」といったアクションを提案する。

日常の業務においても「空雨傘の思考法」は有効だ。

例えば、プロジェクトの進行状況を把握し、その結果からプロジェクトの成功に必要なアクションを導き出すことができる。

このフレームワークを意識することで、常に論理的かつ戦略的な判断を行うことが可能となる。

また、実際の活用においては、アクションには選択肢がいくつか存在する。

たとえば、空が曇っているという事実から、雨が降りそうだと解釈をした場合、打ち手となるアクションには、そもそも出かけないという選択肢や、他の雨具を持っていくといった選択肢が考えられる。

この点が議論のポイントとなる事も多いため、区別をつけた上で報告し、アクションの確からしさを磨いていく事で思考の質も上がっていく。

「空・雨・傘」は、問題解決において「事実・解釈・アクション」をセットで考えるべきだと教えてくれるフレームワークだ。

フレームワークを活用し、あなたの仕事の質を上げることが出来れば幸いだ。