プロジェクトマネージャー(PM)として活躍されている皆さんに向けて、今回はスキルアップのための手法を紹介する。

DX(デジタルトランスフォーメーション)を進める中で、誰かの一声でプロジェクトが方向転換を強いられたり、頓挫することがある。

そんな状況を防ぐために必要なスキルの一つがステークホルダーマネジメントである。

本コラムでは、ステークホルダーとの上手な向き合い方について解説する。

ステークホルダーマネジメントの重要性

DX推進などのプロジェクトを成功させるには、ステークホルダーマネジメントが鍵を握る。

プロジェクトに関わる人たちを適切に管理することで、予期せぬ方向転換や問題を未然に防ぐことができる。

特に多くの関係者が関わる大規模なDXプロジェクトでは、ステークホルダーの意向や影響をしっかり把握し、対応することが成功のポイントとなる。

ステークホルダーの意見を無視することはできず、彼らの期待やニーズを理解し、適切に対応することが求められる。

DXプロジェクトが成功するためには、ステークホルダーの協力が不可欠である。

逆に彼らの支援が得られれば、プロジェクトはスムーズに進行しやすくなる。

そのため、ステークホルダーのマネジメントはプロジェクト成功のための基本であり、最優先事項であるといえる。

ステークホルダーマネジメントの具体手順

1.ステークホルダーの洗い出し

まずは、プロジェクトに関係するすべてのステークホルダーを漏れなく洗い出すことが重要である。

社内外の関係者や影響を受ける可能性のある人々をリストアップし、組織図や体制表を活用して詳細に把握する。

例えば、プロジェクトチームメンバー、上司、他部門の関係者、外部の取引先などが含まれる。

ステークホルダーの洗い出しは、プロジェクトの初期段階から始めることが望ましい。

関係者の意見や期待を早い段階で把握することで、後々のトラブルを未然に防ぐことができる。

2.ステークホルダーの分析

洗い出したステークホルダーを分析し、それぞれの影響力や関心度を評価する。

この分析を通じて、どのステークホルダーがプロジェクトにとって最も重要であるかを特定することができる。

影響力と関心度はマトリックス表を用いて可視化すると効果的である。

影響力が高く関心度も高いステークホルダーは、プロジェクトに対する強い影響力を持つため、特に重点的に対応する必要がある。

逆に、影響力が低く関心度も低いステークホルダーは、最低限の対応で済む場合が多い。

分析の結果を基に、各ステークホルダーに対する適切なアプローチ方法を決定することが重要である。

3.ステークホルダーへの対応方法の検討

ステークホルダーごとに対応策を検討する。

タイミング、対応者、伝達方法、伝達内容を具体的に決定し、定期的なコミュニケーションを計画することが大切である。

例えば、定期的なミーティングや報告書の提出、メールでの連絡を通して、進捗状況や問題点を共有すると良い。

また、ステークホルダーが抱える懸念や疑問に対して迅速に対応することで、信頼関係を築くことができる。

ポイントとして、適切な伝達手段を選択することに注意を払って欲しい。

例えば、重要な事項は対面での説明を行い、詳細な情報はメールや報告書で提供するなど、状況に応じた柔軟な対応が求められる。

4.継続的なステークホルダーマネジメント

プロジェクトの進行に伴い、ステークホルダーの状況や関心度は変化する。

定期的に見直しを行い、良好な関係を維持するための対応策を継続的に更新することが求められる。

ステークホルダーのフィードバックを積極的に取り入れ、必要に応じて対応策を調整することが大事である。

さらに、プロジェクト終了後もステークホルダーとの関係を維持することで、次回以降のプロジェクトでの協力を得やすくなる。

ステークホルダーとの良好な関係を築くことで、予期せぬ問題を未然に防げるだけでなく、プロジェクトを円滑に進める事にも繋がっていく。

本コラムで紹介したステークホルダーマネジメントの手法を参考にして、ぜひご自身の業務に取り入れてほしい。